英国では長らく、ある程度の大きさのスーパーマーケット(SM)には必ず「デリカウンター」あるいは「ホットカウンター」と呼ばれる対面販売の売り場があった。そこには、鮮魚や精肉から、ハムやチーズの数々、持ち帰ってすぐに食べられる温かいパイまでが並ぶ。鮮魚や精肉はデリカウンターとは別にフィッシュモンガー(魚屋)、ブッチャー(肉屋)と呼ばれることもあるが、必ず店の奥の一角にまとめて置かれている。店舗によって売り場面積や品揃えは異なるが、顧客が店員に欲しいものと量を伝える昔ながらの対面販売であることはどこも共通だ。

 カウンターの店員と客の間では、「今晩は何を食べたらいいかしら」「このチーズがお勧めですよ」といった会話も交わされる。常連客と店員が知り合いで、商売と関係のない世間話に興じている様子はどこでもおなじみの光景だった。また1人暮らしの高齢者などには、パックされた商品よりも少ない量で買えることもありがたがられていた。

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