日報をAIと人が分析しレポートにして共有
「8回目にして一つの到達点に達することができた」。国分グループ本社の国分晃社長が胸を張るのは、毎年実施している顧客満足度調査の結果だ。今年6月のアンケートで、川上の販売先(小売業)が選ぶ「卸1位選択率」が目標の50%を初めて超えた。国分は2016年の第10次長計スタート時から、「顧客満足度ナンバーワン」を掲げ、提案力の強化に取り組んできた。8年目にしてその成果が実った形だ。
今期も政策の大方針に「食の価値創造の実践と循環」を掲げている。その取り組みの一つが、現場の営業力をさらに引き上げる社内SNSとナレッジレポートの活用だ。社内SNSでは日々500件以上のやり取りが行われ、すでにオープンになった商品開発や売り場提案の成功事例を共有。ナレッジレポートは、国分1500人の営業担当の日報を全てAIに分析させ、「こんな話を小売業がしていた」「こんな商品が売れている」といった現場の声を取引先情報を除いて整理、抽出し、最終的にマーケティング部が25~30の項目にまとめてメールで毎週営業担当に配信するというものだ。暗黙知になりがちな現場の情報を見える化して形式知化し、それを現場が実践することで新たなイノベーションにつなげるのが狙い。「これらのツールを原動力に、60万の扱い商品、仕入先1万社、得意先3万5000社といった我々の営業の資産を生かしたい」と國分社長は語る。