中小事業者が無理に仕事を請けなくなっている
「ドライバーの確保は年々難しくなっており、足元で一段と厳しさが増している」。AZ-COM丸和ホールディングス(HD)の秋元敏良執行役員事業推進部長が語る現状だ。同グループは事業会社の丸和運輸機関(丸和)を通じ、小売業向けの3PL物流事業を展開。よって1年で最大の繁忙期は小売業の書き入れ時の年末となるが、直近2022年の年末は21年、20年と比べても輪をかけてドライバーが集まりづらかったという。「配送の3、4日前になっても便を確定できず、直前になって空いた車が見つかってなんとか手配できた案件もあった」(秋元執行役員)という話からも状況の過酷さがうかがえる。
従来、繁忙期において、丸和は割増賃金を条件にパートナー企業に募集をかけていた。相手も事情がわかっているから、「長い付き合いの丸和さんのためなら一肌脱ぎましょう」という関係が成り立っていた。それが今、返ってくる答えは、「お金の問題じゃないんです」。ECビジネスの成長などもあり、増え続ける荷量に対し、物流会社のドライバーは増えるどころか高齢化などでむしろ減りつつある。きつい仕事のイメージから採用も思うように進まない。物流業界はこれまでも慢性的な人手不足にあったが、いよいよ「今いる人に辞められたら困る」というところまで状況が深刻化。その結果、中小の物流会社ほど雇用の維持を優先し、無理に仕事を請けなくなっているというのだ。