3回死んだに込められた人生の重み
「私は3回死んだので、怖いものは何にも無いよ。筋を通すだけ。それが通らなければ、通すまでやり抜く。ふざけんじゃないよ」。7月25日に亡くなった西武百貨店の元社長、和田繁明氏(享年88)の口癖だ。
1998年の頃には頻繁に口に出していた。90年代は西武百貨店、西友を中核とする流通グループ、セゾングループは相次ぐ不祥事とバブル崩壊後の処理を巡り、経営破綻の淵をさまよう企業が続出。善後策の陣頭指揮をグループの総帥、堤清二氏から事実上、押しつけられていた時だった。「3回死んだ」とは物騒な言葉だが、その一つ一つに人生の重みがある。