「パーソナルワン」の売り上げが16カ月連続で前年同月超え

 ファンケルは6月22日、オーダーメイドサプリメント「パーソナルワン」(冒頭写真)に代表される「ファンケルのパーソナル・ヘルスケアサービス展開のための技術開発」と題した研究ミーティングを開催した。同社総合研究室ヘルスサイエンス研究センター生体機能分析Gの雄長誠氏が発表を行った。

 パーソナルワンは食習慣や生活習慣のアンケートと尿検査を基に、お客の健康状態を分析し最適なサプリメントをオーダーメイドで提案。一人ひとりに適した基本栄養素の「ベースサプリ」と「健康悩み対策アプリ」を組み合わせて提供しており、日本人が不足しがちな基本栄養素の充足度を、尿検査で身体への負担をかけることなく把握することができる。販売チャネルは、同社通販と直営店舗(一部取り扱いのない店舗もある)。2020年2月から販売を開始し、22年5月時点で、16カ月連続で前年同月を上回る好調な売り上げを記録。パーソナルサプリメント市場は20年から年平均15%で成長している。

 今回の発表会では、その尿検査に用いる新たな技術について説明。鉄、ビタミンD、βカロテンについて、従来の尿検査よりも高感度に測定し、血清との相関解析を強調した。例えば鉄は不足すると、ヘモグロビンよりも先に貯蔵鉄である「フェリチン」が減少する。尿フェリチンの量と血清フェリチンの量の相関性を発見し、それを新たな技術に応用する。尿では測定しにくい脂溶性ビタミンであるビタミンDについても、富山県立大学と共同研究した特殊な技術を用いて、郵送できる量の尿から測定できるようにした。

 また、新たに始めたアスリート向けサービスについても紹介。20年度から行っている鹿屋体育大学・KAGO食スポーツとの共同研究により、栄養消費量の多いアスリートの尿からの評価が可能になったため、同サービスの開発に至った。「鉄不足は競技パフォーマンスに影響を与えます。指導者からサービスを利用したいというお声をいただいていたことから、研究によりアスリート向けの新しいサービスを開発することができました」(雄長氏)。実際にKAGO食スポーツと連携し、慶應大体育会競走部へのサポート体制を強化するなど、栄養サポートの継続とパフォーマンス向上に努めている。好調なパーソナルワン事業をさらに後押しする新たな事業展開と技術開発に期待が集まる。