ファミリーマートとデジタルサイネージ・メディア「FamilyMartVision」を運営しているゲート・ワンは、ファミリーマート店内に設置するデジタルサイネージが全国34都道府県、合計3000店へ設置が完了したと発表した。今後事業計画を前倒しし、2023年度中に設置可能な全店に行き渡らせたい考え。
デジタルサイネージはレジ周りに3台つなげて設置する大型・高解像度モニターだ。そこで広告などのコンテンツを配信し収益を獲得、加盟店にも設置手数料が入るビジネスモデルとなっている。ファミリーマートの国立冬樹デジタル事業部長は、「近年リアルとデジタルの垣根を超えたマーケティング施策の重要性が高まっている。ファミリーマートは全国に約1万6600店を有し、1日約1500万人のお客様が来店する。今回の3000店へのサイネージ設置により、1週間で約1900万人に接触可能なメディアとなる」とデジタルメディア事業の意義を語る。
サイネージで配信するコンテンツは自社商品の訴求、NBメーカーの広告だけでなく、ニュースやクイズ、アート、ミュージックビデオ、お笑いコンテンツなど様々。また、特殊詐欺防止の啓蒙や、東海地方のメーカーとコラボしたオリジナル商品の紹介を東海地方限定で配信するなど、各種地域に根差した情報を地域ごとに出し分けることで地域社会に貢献できる情報発信にも取り組む。
これまで設置した店舗においては、広告配信により当該商品の店舗売り上げが平均して2割以上アップするなどの効果も出ている。「テレビ・ネット広告はリーチできる世代に偏りがあるが、店舗のサイネージは全世代に幅広くリーチできる。また夜間にビールの広告を流すなど、時間帯・来客層に応じて効果的な訴求が可能。テレビCMとサイネージを組み合わせることでより広告効果が高まることも実証されている」(ゲート・ワン速水大剛COO)。
現在はスタンディング店舗への設置が多いが、今後は設置場所、設置方法なども工夫しながら都市部の小型店舗へも拡大していく計画。また、ファミペイアプリとの連動も模索。購買情報を元にしたターゲット広告による店舗への誘導、また来店後の効果検証も図りながら、店舗メディアの効果・精度を高めていく考えだ。
ファミリーマートは今後も既存のコンビニ事業のアセットをデジタルと掛け合わせる取り組みを加速。新規事業で得た収益をコンビニに再投資する循環を作る、独自の成長戦略を掲げている。