帯広空港からJR帯広駅に向かうバスに乗り窓外に流れる景色は、十勝平野の広さと帯広駅近くまで続くごくわずかな家屋。過疎化と背中合わせの景色であることがわかる。北海道は、アークス、コープさっぽろ、イオン北海道の3極の寡占化状況。過疎と競合の中でダイイチの健闘ぶりを示すのは、既存店売上高前年比。2021年9月期は前年比104.5%、22年上期は102.6%で着地。地域密着によるお客の支持の厚さが窺える。 (インタビュアー・栗田晴彦)

パートナーの知見を商品開発に活用

 ――北海道のSM(食品スーパー)業界は、全国に先駆けて寡占化が進みました。その中で何を武器に勝ち残っていこうと考えたのですか。

 若園 勝ち残るのか、生き残るのか。そこは何とも言えませんけど、結局はSMですから、奇をてらった商品や店作りをしても長続きしないと思うんですね。このところ色々大災害があって、その時にスーパーってこんなに大事なものなんだと改めて実感されて、社会的なステータスが上がりました。ですから難しいこととか、そういうことじゃなくて、普段の食事の提供、もっと言えば毎日の食生活のお役に立つことがSMの使命で、これをいかに愚直にやり続けるか。そこに尽きるんじゃないかと思います。

 ――その使命の中でも、ダイイチが特に重視していることは何でしょう。

 若園 いくつかこだわりはあるんですが、やはり生鮮・惣菜をメインにして、毎日の献立に役立つ商品をしっかりご提供していく。これが我が社においては最重要課題で、ここに特化しています。それも私ども本当に小さな会社ですので、あくまで地域に根差したSMとしてやっていこうと。その中で生き残りをかけるとすれば、今は手間暇をかけて面倒臭いこと、大変なことをやることがお客様に喜ばれるんじゃないかと思っているんですね。

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