福島県郡山市のヨークベニマルトレーニングセンター二階の一室は、創業時からのベニマルの歴史で彩られている。そこで映し出された動画の冒頭に登場するのは、大髙会長の母さた(創業者大髙善雄氏の妻)が自転車に乗って行商に回り、ようやく一軒の家で一品の商品が売れた時、涙を流さんばかりに繰り返し礼を言う姿。お客には誠実に、仕入れる商品はいいものを。ベニマルの原点が凝縮されている。(インタビュアー・栗田晴彦)

1929年の世界大恐慌再来を懸念

――新型コロナの感染拡大は世の中を一変させる変化を引き起こすと言われています。小売業界に長く身を置く大髙会長は、今回のコロナ禍をどう受け止めていますか。

 大髙 私は今80歳で、商売をやって63年になりますが、これまで沢山の試練を乗り越えてきましたよ。最近で1番大きかったのは、東日本大震災。あの時はさすがに、会社はこうやって潰れるのかなと思ってね。その私からしても、今回のコロナはまさに100年に1度の危機だと思います。世界中の経済が止まり、これだけ多くの産業が打撃を受けた経験はありませんから。そういう中でスーパーマーケット(SM)は、非常に恵まれた状況になっている。お客さんの新しい生活様式と言いますか、なるべく家で食事をしたい、近くで買い物したいという外出自粛、家庭への回帰が追い風になって、どこも絶好調です。うちも今年上期(3−8月)の既存店売上高は、前年比6.3%増と大きく伸びていますけど。

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