発展途上国では、政変に限らず非常事態がつきもの。危機回避には、進出先の国民感情を理解したうえで、あらゆる事態を想定した危機管理体制をあらかじめ整えておくことが重要だ。ここでは、コロナだけではなく政変にも見舞われたミャンマーにおける、ショッピングセンター(SC)の事例を紹介する。

 11月25日、ヤンゴン中心部の大型SC、ミャンマープラザの催事場で、十数人の若者グループが突如横断幕を広げ、軍上層部の親族が経営する某社の路線バスに乗らないよう、買い物客に呼びかけた。クーデター以降、軍はデモ参加者たちを片っ端から逮捕していたため、現在デモは、どこからともなく人が集まってきてシュプレヒコールを叫ぶと数十秒で解散するフラッシュデモが主流になっており、ミャンマープラザで行われたのもこの手のデモであった。シュプレヒコール後、参加者はすぐに四方八方に散らばって逃げ、それをスマホで撮影した人たちがSNSで拡散するのが通常のスタイルだが、この日はSCの警備員がすぐに駆け付けて若者たちを拘束した。軍に引き渡さずに説諭だけで解放したが、拘束時の画像が拡散。市民の反発を買い、テナント、顧客ともにミャンマープラザをボイコットしようという呼びかけがその日のうちにSNSを駆け巡った。

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