物流クライシスによるニーズ拡大が設立を後押し
宅配需要が右肩上がりで伸び続ける中、中小の運送事業者が連携して立ち上げた「ラストワンマイル協同組合」(L1M組合)の存在感が高まっている。ヤマト運輸や佐川急便など宅配大手よりも安い運賃で配送する事業モデルが雑貨や家具、アパレル販売などの荷主から支持され、取扱量が増え続けているのだ。知名度が上がるとともに組合員として加盟を希望する中小事業者からの問い合わせも増加、配送エリアも拡大している。L1M組合の志村直純理事長(デリバリーサービス社長)は、「BtoBを請け負っていた会社がコロナ禍で仕事が激減したことでBtoCの個人宅配に関心を示すようになってきた」と経緯を説明。配達コストを抑えたい荷主と新たなビジネスチャンスに賭ける中小運送会社の思惑が一致し、成長が加速している。
志村理事長たちがL1M組合を設立した2018年当時、ECの拡大で物流が逼迫し、深刻な人手不足に見舞われたほか、ヤマトなどが運賃値下げで物流コストの急上昇を招いた物流クライシスが問題化した。さらに販売拡大を図るため小売業や卸売業、メーカーが商機を見いだしてECに相次いで参入。だが、EC物流に対応できるのがヤマト、佐川などに限られていることから、中小事業者にも荷主からEC配送の依頼や問い合わせが殺到。ECの成長を確信した組合員が多かったという。