家族で楽しめる農業体験でリピーターが急増
カゴメの体験型野菜テーマパーク「カゴメ野菜生活ファーム富士見」(長野県富士見町)が進化を遂げた。同施設は、「農業」「ものづくり」「観光」の三つが一体化した、一昨年4月に誕生した新たなカゴメのPR拠点。同施設内には隣接する八ヶ岳みらい菜園で栽培する生鮮トマト、地域で採れた野菜を使ったイタリアンレストラン、カゴメ商品や地域の特産品を取り揃えた直営ショップのほか、トマトの様々な品種を展示した観光温室などが揃っている。
特に力を入れているのが、八ケ岳連峰のふもとの雄大な自然の中で楽しめる農業・収穫体験だ。四季を通じで訪れた人が旬の野菜の収穫ができ、収穫した野菜は持ち帰ることができる。天井トマトやミニトマト、完熟トマトに加え、夏はトウモロコシ、秋はカボチャ、冬に向けて大根や人参など春野菜から冬野菜まで幅広く揃え、いつきても収穫を楽しめるのだ。また雨天でも体験できるように、今年から3つのハウス栽培所も増やした。
カゴメ子会社のカゴメ野菜生活ファームの河津佳子社長は、「野菜生活ファームも3年目に入り、何度も来館いただいているリピーターのお客様が増えてきた。今年はコロナ対策も万全に年間の収穫体験だけでなく、何度きていただいても楽しめるように年間で様々なイベントも予定。野菜のテーマパークとして、より充実させることが今年の目標だ」と力を込める。
実際に親子、3世代のファミリーを中心に長野県以外からも想定以上に来場者が増えている。今年のゴールデンウィーク(GW)中には、特別企画「トマト苗の定植体験」を開催。それに参加した来場者からは、「子供と一緒に初の農業体験ができ、家族の大切な思い出となった。自然の中で気持ちがよかった」と非常に好評だったという。今後も子供の夏休みの記憶にも残るイベントを充実させていく。
年間のイベントでは、自然の材料を使ったインセクトハウス(虫の巣箱)も用意した。ハロウィーンの時期には、採れたカボチャを使ったジャック・オー・ランタン作りも開催。年間の催事に合わせた様々な楽しいイベントを用意している。
さらに来場を促す仕組みでは、昨年からインスタグラム(インスタ)での配信を開始。観光する際には、イメージしやすいインスタで検索する人が増えているためだ。コロナ渦で足を運べない人も多いことから、動画のインスタライブには、GW中に開催した従業員による特別企画「ミニトマト栽培講習会」を配信。野菜栽培の楽しさを伝え、動画を見た人が直接従業員に話を聞きにくるという好循環も生まれている。観光温室では、珍しいトマトやトマトの栽培について聞くこともできる。
笑顔の接客を通じカゴメのファンを作る
施設内のショップには、ジャム4種類と「野菜生活100オリジナル 野菜生活ファーム限定パッケージ」のほか、野菜をモチーフにしたノート、マグカップ、マスキングテープなど女性目線で作られたオリジナル商品が揃っている。カゴメギフトセットやオリジナル詰め合わせセットの販売量も伸びている。コロナ渦で帰省ができない人が多い中で、5月には母の日にオリジナルセットを実家に送りたいと人気となった。今年からは、「カゴメ ミニトマト苗」をGW限定で販売。トマト栽培用に開発された土も一緒に販売し、GWの前には完売するほど好評だった。「カゴメの加工食品だけでなく、農産事業での連携も大きく広がった」(河津社長)という。
また来場者から圧倒的な人気スポットが施設内のイタリアンレストランだ。イタリア製の薪窯で焼いた本格ピザのほか、パスタ、トマトソフトクリームなど、地場野菜をふんだんに使ったここでしか食べられない多彩なメニューを提供。コロナ下で持ち帰りニーズも高まっていることから、出来立てにこだわりながら、パスタとピザのテイクアウトも開始した。
河津社長は、「コロナ下の社会の変化に昨年からいち早く対応してきた。感染症対策を徹底して力を入れている従業員を大切にし、その従業員の笑顔による接客が最も大事。お客様が心地よい空間と感じていただくことが、次の来場に繋がると考えている」と気を引き締める。
富士見町の農業振興、雇用の創出に向け観光事業を推進
同施設は「農の未来、食の未来、地域の未来を魅せる」をコンセプトに、同施設に隣接した野菜飲料を製造する富士見工場、冷涼な気候を活用しトマトや高原野菜を栽培する八ケ岳みらい菜園、富士見町の観光を担うカゴメ野菜生活ファームの3者が協力して運営。総敷地面積は約21haの広大な土地だ。また工場の排温水や排ガス(CO2)を菜園の温室に再使用するなど循環させることにより、環境にやさしい農業も実現している。
その大きな目的の一つとして長年、富士見工場を支えてもらった富士見町の農業振興、自然環境保全、雇用の創出、町民の健康寿命の延伸への協力を掲げている。そこで富士見小学校の児童には野菜の定植を手伝ってもらい、児童が生物多様性を学ぶ体験学習の場を提供。昨年夏には2年目となるひまわり畑の迷路を作った。今年は取り組みをさらに深め、同校児童と一緒にひまわりの種を植え、そこから搾油した限定ひまわり油を販売。そのデザインの手書きラベルや、野菜生活ファームの看板なども児童が作るなど、地域との関係もより深いものになった。
富士見町役場とは、地域の健康促進活動を推進。手にセンサーを当てるだけで野菜摂取量を推定する「ベジチェックⓇ」が町の進めている町民の健康増進プログラムに採用された。ベジチェックは同施設にも置かれており、何度も測りにくる来場者も多く人気が高い。
富士見工場では、カゴメのものづくりのこだわりを畑から野菜飲料が作られるまでのプロジェクションマッピングやジオラマの見学を通じて伝えている。ただ現状、こちらは新型コロナの影響で現在休止していることから、代わりに360度のVRにより工場の生産ラインを間近に見学することができる「プチガイドツアー」も毎日施設内で開催している。
カゴメ野菜生活ファームは、カゴメが目指す「農業振興・地方創生」、「健康寿命の延伸」といった社会課題への取り組みを実践する象徴的な施設に位置づけられる。長期ビジョンに「トマトの会社から野菜の会社に」を掲げるカゴメでは、食を通じて社会課題の取り組みを推進。日本の緑黄色野菜の消費量を高め、健康寿命の延伸や地域の社会課題解決の活動を進めていく。
住所:長野県諏訪郡富士見町富士見9275-1
電話:0266-78-3935
Mail:ysf@kagome.co.jp カゴメ野菜生活ファーム問い合わせ先
※12月1日〜3月31日まで冬季休業(予定)