スーパーマーケットのデジタル戦略はこうあるべきと思わせるほど、語り口に淀みがない。ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)は、イオン主導で、マルエツ(東京)、カスミ(茨城)、マックスバリュ関東(東京)が集い2015年に設立された。商品開発、物流、システムなど後方部門の集約に、統合効果の主眼が置かれている。山本社長は、USMHのデジタル本部長も務める。USMH全体のデジタルの有効活用が進みそうだ。(インタビュアー・栗田晴彦)
――USMHの第2次中期計画(20−22年度)の柱は、ズバリ「DX」。中でもカスミは先行的な取り組みをしています。
山本 ご承知の通りSMを取り巻く環境は激変していて、もはや既存モデルの改善や修正では成長戦略を描けない。やはりデジタル化を推進して、SMのビジネスモデル自体を再構築していくことが必要だろうと。こうした考えの下に、第2次中計ではデジタル改革を基盤にしてコスト、フォーマット、ワークスタイルの構造改革に取り組んでいるんですね。それで我々まずチェックアウトの部分から始めて、昨年からセルフレジの導入を進めています。それまではセミセルフレジを大分入れていたんですが、これを止めて方向転換したわけです。
――その理由は。
山本 セミセルフレジは確かに混雑時は効率的ですが、混んでいない時もレジを6台開けていれば6人必要です。でもセルフレジは6台でも1人でいい。ですから通常のレジ3台とセルフレジ6台にすれば、レジ待ち時間を短縮できて4人で済むんです。ただセルフレジは重装備でスペースを取るし、単価も高い。そこで計量台ももうなくてもいいんじゃないかと。海外はそういう省スペースのものが多いんですよ。それで機械は自分たちで台湾から買って、ソフトだけ国内のベンダーさんに開発してもらったんですね。