チューブ入りで利便性を高めたみょうがと紅しょうがを追加

 エスビー食品が社会環境の変化に伴う内食需要の高まりに対応した価値提案を強化する。2021年春夏商品では、新商品51アイテム、リフレッシュ品24アイテムの合計75アイテムをラインアップ。発売後1年間の売り上げ合計目標(小売りベース)は247億円を掲げている。

 今春夏のいち押し商品の一つ目は、チューブ入り香辛料「きざみ」シリーズ。今回、新たに「きざみみょうが」を発売する。取扱量が大葉より多い生鮮のみょうがはニーズが強い一方で、「日持ちしにくい」「旬が限られて、使いたいときに使えない」などの理由から同社お客様相談センターに商品化の要望が多く寄せられていた。そこで刻む手間を解消した今回の商品化でそうめんの薬味やお茶漬け、カルパッチョ、豚しゃぶ、チラシ寿司などへの用途拡大を提案する。また既存の「きざみ青じそ」は使用する青じそ原料を国産100%に切り替え、リフレッシュを図っている。

「きざみ」シリーズと併せて、みじん切りしたチューブ入りの「紅しょうが」も発売。市販品では「汁がたれる」「使いたいときに使えない」などの不満が根強かった。今回、できるだけ大きいサイズに刻んだことで、お好み焼きやたこ焼きなどの粉物、牛丼などの丼のほか、おにぎりや卵焼き、かき揚げなどに混ぜておいしく食べることを提案。手軽に使える「ちょい足し商品」として紅しょうがの汎用性を高める考えだ。

 スパイス&ハーブの提案領域の拡大策として、カレー関連商品の「カレープラス」シリーズに、「きざみ福神漬け」と「きざみらっきょう」を追加する。どちらも、使い勝手がよいチューブ入りを採用。福神漬けは大根やきゅうりなど7種の素材を使用し、ほどよい甘さと酸味の福神漬け本来の味わいに仕上げたほか、素材それぞれの食感や香りが残るように刻むことでシャキシャキした食感を実現。らっきょうはシャキッとした歯ごたえで、自然な風味のらっきょう漬けを厳選して使用。チューブで絞り出せるギリギリのサイズで刻むことにより、食感良く仕上げた。福神漬けは納豆やチーズのせ、らっきょうはタルタルソースに混ぜるなどの使用を提案し、市場活性化を図る。

小麦粉を使わず、スパイスの香りをさらに磨き上げた本挽きカレー

 いち押し商品の二つ目となる即席カレールウ「本挽きカレー」は、中辛と辛口をリフレッシュする。近年縮小傾向にあった即席カレールウ市場は内食回帰の傾向から需要が再び高まっている。本挽きカレーは小麦粉を使用しない上、パウダールウ製法によるスパイスの香りの良さが特徴。春夏商品では、使用するスパイスにクミンやオールスパイス、フェンネルを追加し、スパイスの厚みと広がりをさらに強化している。

 また、丸鶏と香味野菜を煮込んで仕立てたチキンブイヨンに、新たに鶏ガラを加えることで、よりコクとうま味が感じられる味わいへブラッシュアップした。小麦粉を使用せずにあめ色になるまで炒めた玉ねぎ、じゃがいも、トマトを溶け込ませ、さらに焙煎したひよこ豆を合わせることで、より自然なとろみを表現している。

 プロモーションではイメージキャラクターに俳優の及川光博を引き続き起用し、POPやリーフレットを展開するほか、テレビCMを放映する予定。本挽きカレーの魅力にさらに磨きをかけて、新たなカレーの調理機会・喫食シーンを創出し、市場のさらなる拡大につなげる考えだ。

辛いイメージを払拭、ドライキーマカレーに甘口をラインアップ

 さらに、最近外食を中心に盛り上がりを見せているインド・エスニックカレーは、スパイスやハーブの効いたお店のような本格的な味わいが重視されていることを受け、レトルトカレーの「スパイスラバーズ」シリーズを発売。ハーブとココナッツの香りや青唐辛子の辛みが楽しめる「グリーンカレー」、焙煎したクミンとしっかり炒めた玉ねぎの焙煎香が奥深い「キーマカレー」、スパイスの香りと野菜のうま味が芳醇な味わいの「スパイスチキンカレー」の3種類をラインアップする。

 今回商品化にあたり、カレーのスペシャリストである出張料理人集団「東京カリ−番長」が監修。スパイス&ハーブのエスビー食品の技術とカレーづくりのスペシャリストである東京カリ−番長の知見を掛け合わせることで、日本人の嗜好にあわせた本格感のある味わいと化学調味料無添加を実現した。今後、積極的に展開することで本格派ブランドの確立を目指す。

 このほか、ハヤシルウの新製品「ブルゴーニュワインのフレンチハヤシ」も発売する。ハヤシメニューには味の選択肢が少なく、味に飽きてしまうという不満点が存在。今回はミシュラン星を8年連続獲得している東京・市ヶ谷の「シェ・オリビエ」のオーナーシェフであるオリビエ・オドス氏が監修した。特製の赤ワインソースは香り高いブルゴーニュ産ワインを100%使用。「ジュニパーベリー」でソースの香り立ちを華やかにするとともに、ザクロ果汁の酸味で赤ワインの風味を高めた。またひよこ豆を焙煎して加えることで、小麦粉の使用量を抑えつつもまろやかな舌触りとコクを付与している。「トマト系」「デミグラス系」以外の提案により、既存のハヤシルウと差別化を図り、市場の活性化を狙う方針だ。

発売20周年の「予約でいっぱいの店」こだわりの「ボンゴレロッソ」追加

 いち押し商品の四つ目として、発売20周年を迎えたパスタソース「予約でいっぱいの店」シリーズを全面刷新。巣ごもり需要が継続していることからパスタの需要は高止まりし、家庭で食べられない味のニーズが高まっている。新商品として、監修する落合務氏がオーナーシェフを務める東京・銀座の「ラ・べットラ」で限定メニューとして提供される「ボンゴレロッソ」をラインアップ。あさりの出汁を煮詰めてうま味を凝縮し、完熟トマトと合わせてバジルの香りをアクセントにする落合シェフこだわりの味わいが特徴だ。

 また、ビーフエキスを新たに追加し、ソースに溶け込む牛肉のうま味をアップさせた「ボロネーゼ」、北海道産生クリームを使用し、牛肉のうま味と一体感をアップさせた「生クリームボロネーゼ」、ペコリーノ・ロマーノチーズを使用し、チーズと卵黄の濃厚なコクをアップさせた「カルボナーラ」は味わいの見直しに伴う商品仕様の変更により、新商品として改めて発売する。こうした全面的なリニューアルにより、従来の利便性に加え、自分では作ることのできない専門店の味の魅力度を高め、外食を楽しめない状況で高まるニーズに対応する。

 さらにパスタソースでは、外出自粛に伴い、旅行に行けない状況からご当地への興味・関心が高まっていることを背景に受け、「まぜるだけスパゲッティソース ご当地の味」シリーズに、ご当地で愛されている調味料とコラボした「青森スタミナ源&ガーリック」と「新潟かんずり&クリームチーズ」の2種類を追加発売する。青森は上北農産加工が製造する焼肉用のたれ「スタミナ源たれ」、新潟は妙高地方の伝統香辛調味料「かんずり」をパスタソースに使用した。かんずりは鍋物のイメージが強いが、レシピサイトの関連キーワードでパスタが上位になっており、クリームチーズと組み合わせて仕立てた。

 エスビー食品は、収束の見通しが立たないコロナ禍で高止まりする内食需要に応えるべく、ラインアップの拡充とメニュー提案を一層強化。市場のさらなる活性化を図り、社会と環境の変化に対応していく。