甘く飲みやすいリキュールがSNS女性層の支持を獲得

 巣ごもりを背景に、家飲みの消費量が増えている。特にソーダやお湯などで割って好みの飲み方でカクテルを作ることができるリキュールが人気だ。外出自粛期間中でも一工夫し、自分で簡単に楽しく家で飲むことができることから、リキュールの購入層が広がりつつある。そこで各スーパーマーケットではリキュール売り場の品揃えを増やし、消費者ニーズの変化を捉えた商品ラインアップの強化を図っている。

 こうしたトレンドの中、養命酒製造が販売に力を入れる「フルーツとハーブのお酒」(300ミリリットル瓶)が話題を呼んでいる。フルーツとハーブが織りなす、やさしい風味と香りが楽しめる同商品が甘くて美味しいと支持され、若年女性を中心に新たなユーザーを獲得。インターネット上では、実際に飲用したユーザーが同商品を紹介し、「飲みやすい」などといった感想や意見を述べる投稿がSNSで繰り返しシェアされた。実際に2020年度の売り上げは、19年度比で109.4%まで伸びる見込みだ(全国1018店舗のKSP-POSデータを参照)。

 こうした生活者からの声を受け、養命酒製造では、「フルーツとハーブのお酒」を3月にリニューアルする。味とパッケージをブラッシュアップし、さらなる家飲み需要の喚起を図る。従来6種のフレーバーで展開していたが、今回のリニューアルでは、人気商品「香る白桃と杏仁」、「ザクロ&ラズベリーとローズヒップ」、「ピンクグレープフルーツとジンジャー」の3品に集約。パッケージを華やかなラベルに刷新し、売り場やSNSで映えるように、果物の素材を打ち出したデザインに変更した。「売り場で目立つラベルのデザインは、小売店のバイヤー様からもご好評をいただいている」(養命酒製造の営業企画部担当者)。

左から「香る白桃と杏仁」、「ザクロ&ラズベリーとローズヒップ」、「ピンクグレープフルーツとジンジャー」

 味の点においてもさらに改良した。より果汁感を味わえるように素材を吟味し、果汁の本物感がある風味を追求。「香る白桃と杏仁」は、国産白桃果汁を使用し、とろみのあるよりリッチな味わい。「ザクロ&ラズベリーとローズヒップ」は果汁量を1.5倍超(同社従来比)に増やしつつ、甘酸っぱくすっきりした後味。「ピンクグレープフルーツとジンジャー」は高知県産生姜汁を使用し、ほろ苦さのある風味に仕立てた。

 ここで製造手法のキーワードとなるのが「合醸法」だ。合醸法とは養命酒製造が長年培ってきた伝統的な製法である。原料を原酒に漬け込み、じっくりと成分を引き出すことで自然な香りと風味が生まれるのだ。「フルーツとハーブのお酒」は、この合醸法で作られている。ハーブについての知見が深い同社ならではの製法といえるだろう。

「お家カクテル」をテーマに多彩なリキュールを提案

 店頭施策では、家飲み需要の喚起でリキュール売り場全体の底上げを狙う。養命酒製造は今年春から「お家カクテル」を企画テーマに、リキュールの売り場作りを提案。同企画では同社の「フルーツとハーブのお酒」を始め、「夜のやすらぎハーブの恵み」、「生姜のお酒」、「高麗人参酒」、「はちみつのお酒」、クラフトジン「香の雫」など多彩な〝ハーブのお酒〟を揃えている。これらをストレート、ロックのほか、ソーダ割りなど手軽に家で楽しめるカクテルとして提案する。コロナ禍で試飲ができない中でも「お家カクテル」を打ち出した定番棚用のボードや飲み方のPOP、エンド用のハンガー什器、フロア什器などの販促物を用意し、リキュール売り場に誘引できる売り場作りをサポートしていく。

「お家カクテル」を企画テーマに飲み方提案に最適な多彩な販促物を用意

 営業企画部担当者は、「当社の〝ハーブのお酒〟は売り場でハーブに関する長年の研究の蓄積があることをアピールできることが強みだが、そこに他社様の製品を交えた売り場をご提案することで相乗効果を図り、リキュール全体の売り上げ拡大に貢献したい」と力を込める。例えば、この秋冬には、「温活」をテーマに、家飲みに最適な温活ホットカクテルを提案。〝ハーブのお酒〟にひと手間加えるだけで寒い季節の「お家時間を楽しめる」簡単レシピを紹介した。

 同社では「フルーツとハーブのお酒」のリニューアルに合わせて、情報発信を今春に一段と強化。インフルエンサーを起用しSNSを使用したウェブ施策で消費者への認知拡大を図る狙いだ。養命酒製造では今後も「お家で楽しむリキュール」を軸とした施策展開を予定。生活者の家飲み需要を喚起しながら、引き続きリキュール売り場全体の活性化を提案する。