節度ある特売とは違う「とんでもない価格」になる

 SM(食品スーパー)から一気にお客を奪う戦略か。コロナ下の絶好調業績を背景に、DS(ディスカウントストア)の価格攻勢が激しさを増してきた。関東のロピアが新天地・関西で常識破りの異次元売価を打ち出せば、九州から北上中のコスモス薬品も卵・豆腐の強烈売価を引っ提げて関東での出店を加速。さらにイオンもオーケーが「対抗値下げ」に追われる新業態「パレッテ」を神奈川県にオープンさせるなど、食品業界にもう一段の価格破壊を引き起こす様相を呈してきたのだ。

 中でも目下台風の目となっているのが、昨年関西に進出したロピアだ。9月に寝屋川島忠ホームズ店(大阪)、10月に尼崎島忠ホームズ店(兵庫)、11月に鶴見島忠ホームズ店(大阪)と、立て続けに3店をオープン。いずれも連日大盛況で、年が明けても週末は入場制限、平日の午後2時台でさえ300人超のお客で賑わう状況が続いている。

 ロピアの店舗の最大の特徴は、ボリューム感、鮮度感、品揃えの幅、安さの4拍子を揃えた生鮮売り場を構築して競合を圧倒することだ。関西でもその店作りはきっちり踏襲。強みの精肉はもとより、鮮魚、青果も圧巻の売り場を作っており、精肉のメガ盛りパック、寿司の30貫パック、鮭の切り身10切パックなどロピア名物の大容量商品も大量に陳列。大粒の鮑、帆立、大ぶりの海老、タラバ蟹、淡路島産の大玉玉ねぎなど、通常のSMにはない高級食材も豊富だ。

 「覚悟はしていたが、まさかここまでとは」。鶴見島忠ホームズ店と競合する某SMの幹部はこう嘆息するが、地元の業界関係者の度肝を抜いたのは生鮮売り場の鮮度感や品揃えの迫力だけではない。それ以上に大きな衝撃を与えたのが、関西のSM業界の価格相場を一気に突き破った売価だ。

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