世界で繰り返すハンマー＆ダンス
2020年の世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大によって大きなダメージを受けた。物価や金利の上昇、あるいは株価の暴落などによってもたらされる一般的な景気後退とは異なり、人々の移動に制限をかけたことで、GDPの中で最もウェートの大きい個人消費が突然失速するという、前代未聞の景気後退であった。これにより、20年前半の世界経済は、戦後最も大きな落ち込みを記録した（図1）。幸いにも、その後は医療体制の立て直し、致死率の低下などもあり、多くの先進国では大規模なロックダウン措置などは避けられている。しかし、新型コロナウイルスの感染は、手綱を緩めると拡大傾向を強め、収束の兆しは見せていない。各国政府は、感染者が増加傾向を強めると、飲食店の営業や人々の外出に制限をかけて感染の抑制に努め、感染者が減少するとこれを緩和して景気の押し上げを図るといった措置（ハンマー＆ダンス）を交互に繰り返しながら、有効なワクチンや特効薬の開発を待っているというのが実情だ。
