ユニ・チャームは11月17日から20日までの4日間、2021年成長戦略共有会を開催。取引先を対象に事前予約制の初のオンライン開催となった。冒頭の全社方針で高原豪久社長(写真)は、「当社では10月にグループ中長期ESG目標『Kyo-sei Life Vision 2030』による共生社会の実現を掲げました。いままでの商品価値軸だけでなく、社会環境や自然環境に真摯に向き合い、この10年間で基盤を強化し、商品やサービスを生み出していきます」と強く語った。

 企業理念「共生社会の実現」に向けた行動では、国内での使い捨て紙おむつのリサイクル事業を推進。東京都と取り組みをすでにスタートし、事業化に向けて力を入れる。社会環境問題では、蚊を寄せ付けない紙おむつを東南アジアで9月に発売。好調に推移しているという。

 商品開発では、五感を可視化するデジタル技術をさらに活用。商品評価を生体情報から解き明かし、感情的評価が入らない価値を探り、その先にあるより良い、満足できる商品を追求していく。特に10年後の30年に消費の中核であるZ世代(10-24歳)、Y世代(25-39歳)のミレニアル世代(20-40歳)に着目。社内外のミレニアル世代の意見を取り入れた商品開発と売り場提案を一層強化していく方針を打ち出した。

 営業政策では、コロナ禍で小売業が客数減を単価アップで売り上げを補完していることに触れた。そこでペット関連商品と掃除用品、大人用商品と生理用品で分かれていた売り場を連結させるシームレスゾーニング売り場を構築。各カテゴリーのリレーションを強化することで、買い上げ点数と単価のアップに貢献する。

 例えば、ペット飼育者は毎日の掃除が習慣化し、掃除用品のフロアワイパー、ハンディワイパーともに買い上げ点数が倍と高い。そこでペット用品と掃除用売り場を隣接したシームレスゾーニング売り場を提案。消費者とのタッチポイントを増やすことに取り組む。営業政策を発表したジャパン営業統括本部の渡辺勉本部長・執行役員は、「ターゲットを明確にしたアプリなどと連携したデジタル活用によって商品を訴求。価格訴求に頼らない価値伝達を一層強化していきます」と述べた。

 また新型コロナ感染拡大の影響で20年のマスク市場は1707億円増の2465億円、ウェットティッシュ市場は277億円増の607億円、シートクリーナー市場が110億円増の326億円といずれも19年比で急拡大。この衛生・除菌意識の高まりに合わせて、消費者が日用品を買いやすい売り場整備にも力を尽くす。