既存の小売業の戦略の逆張りではないのか。コンビニより少ない取扱商品で単品大量販売に始まる話にそれを強く感じた。沼田社長にそう問うと、「自分は他の小売業に勤めたことがないからわからない」との答え。だがそこで生まれた商品が業務用から個人客にまで広く支持を広げている。今年は神戸物産が業務スーパーのFC体制をスタートして20周年の記念の年。業務用の大容量商品ばかりでなく、個人客対象の食材を増やす方針も打ち出している。(インタビュアー・栗田晴彦)
――業務スーパーの快進撃が続いています。コロナ以降も絶好調で、既存店は今年8月で40カ月連続のプラスです。
沼田 業務スーパーのお客様は当初は飲食店の方などが主体だったんですが、今は一般の方が客数で9割、売り上げで8割を占めているんですね。その一般のお客様もこの2−3年客層が広がっている。メディアで取り上げていただいたり、SNSでお客様がPBを紹介してくださったり、フェイスブックとかでも私たちが知らないところでファンクラブができたり(笑い)。色んなところで応援していただける環境になって、若いお客様が増えている。意外かもしれませんが、以前は50代以上の方の比率が断然高かったんですよ。
――それで既存店が好調に。
沼田 それまでもプラスだったんですが、客層が広がって伸び率が大きくなり、昨年の消費増税でもう一段ステップアップして、それがコロナでさらに大きく伸びることになったんですね。
――お客の支持が広がる一番の要因は、やはり価格の安さでしょうか。
沼田 ベースはそこだと思っています。私たちは「良いものをより安く」をテーマにしていて、その1点に向けてすべてを組み立てていますから。その一つが商品を徹底的に絞り込んでいることです。業務スーパーは売り場面積120−150坪が標準で、店舗も小ぶりですが、1店当たりの取扱商品は2000−2500品目しかないんですね。