高級生鮮食品の需要が激減、価格が4割ダウンの商品も
新型コロナウイルスが高級品を中心とした生鮮食品の流通に打撃を与えている。表1は、東京都中央卸売市場の高級水産物の1カ月当たりの販売量について昨年5月と今年5月を比較したものだが、いずれも今年の方が減少していることがわかる。ヒラメ以外はいずれも2割以上、マダイに至っては半分近くまで低下している。表2は、同じ期間の1kg当たりの月間平均卸売価格を比べたもので、こちらも昨年に比べ今年の方が下がっているうえ、下落幅も2割以上と大きく、車エビのように4割近く下がったものもある。販売量が大幅に落ち込んだことで、価格も大きく下がってしまったのだ。
高級食材の需要減は、訪日客の減少を受けて始まった。毎月250万人前後に上っていた訪日外国人客数は、各国が海外への渡航を禁止し始めた今年2月、100万人強に半減。翌3月にはさらにその2割未満の約20万人になり、その後、4月2900人、5月1700人と、もはやいないに等しい状態まで減少。これに伴って高級食材の飲食需要も消失した。例えば、訪日外国人の中で最も多かった中国人の1月の客数は90万人強、彼らが飲食にかけた費用が1人当たり約4万円(2018年実績)とすると、中国人客の分だけで360億円の外食市場がなくなった計算になる。