全国スーパーマーケット協会は6月29日、スーパーマーケットにおける「キャッシュレス決済に関する実態調査」の結果を発表した。「キャッシュレス・消費者還元事業」の開始後、キャッシュレス決済比率は開始前の15.5%から36.7%に大きく上昇。6月末の事業終了後もキャッシュレスの取り組みを継続する企業が多い一方で、中小企業を中心に手数料に対する懸念も広がっている。

 同調査の実施期間は6月12~25日、FAXとウェブを併用して行った。調査対象件数は966社、回収件数は301社(回収率31.2%)で、内訳は還元事業対象・参加企業213社、非対象企業71社、不参加企業15社、不明2社だった。

 この間、導入が進んだのがQRコード決済で、還元事業参加企業の45.5%が導入済みと回答。2019年9月以前の22.2%から23.3ポイント増の急上昇となった。また、19年9月以前から導入が多かったクレジットカード、電子マネーはそれぞれ89.2%(2.9ポイント増)、73.2%(5.7ポイント増)まで導入率が高まった。

 導入企業が感じるキャッシュレス決済のメリットは、「会計時間の短縮」が最も多く、「現金管理の軽減」や「新たな客層の発掘」が続いた。中で「売り上げの増加」や「買い上げ点数の増加」については還元事業参加企業の方が非対象企業よりも10ポイントほど多くメリットを感じており、還元事業がもたらした恩恵をうかがわせる結果となった。また「その他」として、新型コロナウイルス感染防止の効果を挙げる企業もあった。

 今後のキャッシュレス決済比率については、「上昇した方がよい・現状維持」と回答した事業参加企業が合わせて80.8%。「低下した方がよい」との回答も16.2%あったが、取り扱い中止の意向はほとんどなかった。また非対象企業でも「上昇・現状維持」が78.4%、「低下」が13.8%で、引き続きキャッシュレス決済を取り扱う意向が多かった。

 最大の課題といえる決済手数料だが、今後も継続・維持可能な手数料率について尋ねた結果は1.0~1.5%が最多。次いで2.0~2.5%が多かった。今後の不安・要望として、国に手数料の引き下げを求める声や、加盟店だけがコストを負担するシステムの改善を求める声も寄せられた。

 増井德太郎副会長は、「キャッシュレス決済を社会インフラとして推進するのか、集客などのサービスと位置付けるのかを明確にして支援・指導を進めていかなければ、さらなる進展にはつながらない」と主張。その上で、「手数料問題などについては、今後他の業界団体とも連携し、行政に働きかけを行っていく可能性もある」との姿勢を示した。