西友は2月26日から、上福岡店(埼玉県ふじみ野市)の店内に設置された「植物工場」でレタスの栽培と販売を開始した。植物工場の研究開発・コンサルティングを手がけるスタートアップのプランツラボラトリーが上福岡店3階にある45坪のスペースにテナントとして入居し、水耕栽培装置を設置。専任スタッフがレタス「グリーンリーフ」を毎日収穫・包装した後、同店地下1階にある野菜売り場において1株137円(税別)で販売する。植物工場では1日約240株生産し、年間では8万7600株となる。専用区画の半分程度の面積で運用を開始し、徐々に栽培スペースを広げて生産能力を増強する計画だ。
グリーンリーフの特徴は四つある。一つ目は店内で生産し、店内で消費する「店内店消」で鮮度が高いこと。物流コスト、倉庫代がかからないため価格も抑えられる。二つ目が味わい。これまでも「柔らかい」、「甘みがある」と評価を得てきた。三つ目は、電気と水道が確保できれば、1年を通じて一定の品質を安定供給できること。そして四つ目が、農薬不使用で栽培することによる安心・安全。プランツラボラトリーの立川尚明経営企画室長は、「栄養価についても露地栽培と比べて遜色ない」と胸を張る。
収穫したレタスは上福岡店のほか、小手指店(埼玉県所沢市)、西荻窪店(東京都杉並区)、リヴィンオズ大泉店(東京都練馬区)、リヴィン光が丘店(同)の4店舗でも販売する。既存の物流網を活用して運ぶことで、輸送コストの低減も図る。
西友では上福岡店で運用を検証し、40~50坪の面積が確保できる他店舗への導入も視野に入れる。プランツラボラトリーの湯川敦之社長は、「レタス以外にもあと4種類増やしたい」と意欲を示す。西友の由佐奈穂子ディベロップメントセンター本部不動産部長は、「惣菜の若菜での活用も将来的に検討したい」と素材としての活用も見据える。
今回の植物工場導入は西友の新たなテナント戦略にもなっている。由佐部長は、「植物工場はGMSの売り場を今後どう活用していくかという観点でスタートした。西友と植物工場のシナジーで非常に面白いプロジェクトになる」と期待を口にする。野菜の安定供給とGMSの売り場活用という一挙両得を狙う西友の取り組みに注目が集まりそうだ。
(冒頭の写真は、上福岡店3階にある植物工場)