全国の11産地をリレーし青果の安定調達を可能に

 丸和運輸機関が、青果産地と食品スーパー(SM)を結ぶ「つなぎ手」としての役割強化に乗り出した。  

 SM業界では、ドラッグストアなどの異業種も含めた競争が激化しており、差別化策として生鮮食品の品揃えを強化する動きが活発化している。生鮮の仕入れは、卸売市場経由、産地直送の2つの手法があるが、卸売市場は、規模・数の両面で縮小が続き、ここだけでは調達力に限界がある。一方、産直は、SMが独自に産地を開拓するとなると、時間がかかり、ノウハウも必要と、ハードルが高い。丸和運輸機関は、青果の産直の仕組みを構築、SMに利用を提案している。今期は、この取り組みをさらに強化すべく、これまでの北海道、山形、長野、鹿児島の主要4産地に加え、青森、秋田、埼玉、千葉、岡山、福岡、宮崎の産地とも新たに提携、提携産地は11まで拡大した。同社では、2021年3月を目処に20産地まで拡大する計画で、現在、大消費地から近く、三毛作も可能な関東エリアの開拓に力を入れており、栃木、茨城の産地と協議を進めている。

全国11の青果物の産地と提携しており、来年度中にこれを20産地まで拡大する

 SMが丸和運輸機関の産直を利用するメリットの一つは、青果物を安定して調達できることだ。全国の提携産地をつなげば九州から北海道までの産地リレーが可能になり、じゃがいも、玉ねぎといった定番の青果が1年を通じ安定的に仕入れられる。また、春先には福岡のいちご、初夏には山形のさくらんぼ、夏には北海道のメロン、秋には長野のぶどう、冬は青森のりんごといった具合に旬の果物を途切れることなく品揃えできるため、競争力強化につながる。

 加えてコスト削減効果も期待できる。関西丸和ロジスティクス 3PL営業本部 営業推進部産直推進担当の高橋利至部長によれば、「問屋流通の場合、センターに入荷する際、入荷額の8%程度を手数料として問屋に支払うこともあるが、我々は手数料をいただいていないため、その分コストが抑えられる」と指摘。さらに、多段階流通を排すことで、高鮮度の青果が調達できる点も魅力となる。例えば、月曜日の夕方4時に北海道の帯広で出荷した農産品は、翌日の夕方4時に仙台にある丸和運輸機関のセンターに入り、そこでSMの店別に仕分けられ、翌日の朝には店頭に並べることができる。しかも、コンテナ輸送も含め産地から店頭までコールドチェーンでの物流を確立しているため、遠方から調達する場合でも鮮度が落ちない。丸和運輸機関の谷津恭輔食品営業部副部長は、「当社グループの丸和通運では、従来のトラック輸送に加え、マイナス25度から20度までの温度調節やGPSでの管理ができ、環境にも優しい、クールコンテナを業界最多の102基保有しているため、大手チェーンの物量にも対応できる」と、胸を張る。実際、サービスを利用するSMからも、「温度ショックがなく、鮮度の高い商品が仕入れられる」といった声が多数寄せられているという。

この記事の購読は有料購読会員に限定されています。
まだ会員登録がお済みでない方はこちらから登録ください。
有料購読申込

すでに会員の方はこちらから