これまで9回の連載でビームス(ファッションセレクトショップ)、コメ兵(ブランドリユース)、ファブリックトウキョウ(オーダースーツD2C)、メガネスーパー(メガネ/コンタクト販売)の各社を取り上げてきた。改革者であるデジタルリーダーの話だけではなく、その上司・部下、物流やシステム、一番店の店長の話まで社内を幅広く取材してきた。その中で分かったことは、次の三つだ。
①誰もが顧客と会社全体を考えて頑張っている、②最初から横串がきれいに通っている企業などない、③常に変わる怖さと変わらない怖さの間で悩んでいる。
抵抗勢力って本当にいるのか?
この取材で確信したのだが、事業会社で働いているとき、コンサル先で話を聞くとき、改革者からいつもよく聞くフレーズがある。
「あの部署が(あの人が、上司が、社長が・・・)私の話を理解してくれない。だからオムニチャネル化(デジタル化、改革・・・)が進まない!」
実は私自身もよく言っていた(苦笑)。自分自身が頑張れば頑張るほど、周りが協力してくれないことに怒りや不満を覚えた。「自分はこんなに頑張っているのに、どうして協力してくれないのか!」と。でもよく見てほしい。あなたの周囲にいる人は仕事をさぼって遊んでいるだろうか?きっと大半の人は既存の業務に邁進しているはずだ。そのための運用管理や報告資料作成、社内会議、外部との調整でスケジュールはいっぱい。一方で改革者が進めようとしているのは通常業務を大きく変更したり、場合によっては一から作り変える話だ。そのまま伝えても折り合うはずがない。