米コーヒーチェーン大手スターバックスは7月13日、時給制の店舗従業員(同社は「パートナー」と呼称)を対象とする新たな報酬プログラム「ベスト・オブ・スターバックス・リワード」の運用を開始すると発表した。四半期ごとに支給される報奨金は年間で最大1200ドル(四半期あたり300ドル)。あわせて、7月22日から顧客によるチップの支払い手段を拡充し、7月31日からは給与の週払い制を導入する。同社は、これらを合わせることで、対象となる従業員は現在の報酬に加えて平均5〜8%の上乗せを得られる可能性があるとしている。

 同プログラムは今年4月に導入方針が公表されていたもので、2026年度第4四半期(7~9月)の開始にあわせて順次始動する。定められたシフトへの出勤、優れた接客、店舗の主要な業績目標の達成への貢献など、日々の「スターバックス体験」を支える行動や貢献を評価・報奨する設計だという。北米の店舗では、緑のエプロンを着けた従業員が同社の再建方針「バック・トゥ・スターバックス」を体現し、居心地のよい店舗づくりや顧客との関係強化を担っており、その成果を従業員と分かち合う仕組みと位置づけられている。

成果の測り方に透明性、勤怠にはポイント制

 プログラムの本格運用にあたり、対象店舗を横断して、明確さ、透明性、説明責任を高めるための新たな管理手段、報告体制、行動基準もあわせて導入する。具体的には、報奨の受給資格の見えやすさを高めるほか、売り上げ、人員配置、在庫、販売増進の各項目からなる業績指標を明確化する。勤怠については、新たなポイント制度に裏打ちされた、より一貫性のある出勤基準を設ける。従業員が、店舗の成果がどう測られ、報奨がどう得られ、自らの貢献が店舗の業績にどうつながるのかを理解しやすくすることが狙いだという。同社によれば、現在、予定シフトの平均98%超が充足され、従業員の95%が希望する勤務日程を得ている。

 過去1年、人員配置や店舗運営の改善、店舗指導職「コーヒーハウス・コーチ」の新設といった現場管理職への支援強化など、従業員と顧客の双方の体験を高めるための投資を進めてきたとし、今回のプログラムを「従業員がスターバックスの成功を分かち合うための手段」と説明している。第1回の四半期報奨の対象期間はすでに始まっており、「優れた仕事が認められ、成功が共有される文化」の強化につなげたい考えだ。

 なお、同社は注記として、米国店舗の約5%を占める労働組合のある店舗では、この四半期報奨、週払い制、チップ手段の拡充は、連邦法の定めに従い団体交渉の対象になるとしている。

 今回の施策は、既存の時給や福利厚生の水準を引き上げるのではなく、店舗業績や勤怠と連動した変動報酬を上乗せする形を取っている点が特徴だ。報奨と同時に、業績指標の明確化や勤怠のポイント制といった管理強化策を導入しており、従業員への還元と現場の規律強化を一体で進める設計と読める。

 同社は近年、来店客数の減少を背景に店舗体験の立て直しを最優先課題に掲げており、その成否は接客を担う店舗従業員の定着と士気に大きく左右される。年間最大1200ドルという報奨額や週払い制が、離職率の高いとされる外食・小売りの現場でどの程度の引き留め効果を持つかが、施策の実効性を測る一つの目安となろう。