サムズクラブは4月23日、小売メディア事業「MAP(メンバー・アクセス・プラットフォーム)」の拡充策を発表した。店内チャネルの強化として音声広告と給油所スクリーン広告を新設するとともに、スポーツや季節イベントを活用した体験型施策(オムニ・エクスペリエンス)を本格拡大する。会員が駐車場・給油所・店内の各所で広告と接触できる仕組みを整え、さらに店外のイベント会場まで接点を広げることが今回の施策の軸となる。

体験型イベント施策「オムニ・エクスペリエンス」を拡大

 体験型施策の中核は、2025年に初展開したインディカー連携「レース・トゥ・ザ・クラブ」の継続・拡大だ。アンドレッティ・グローバルとの協力のもと、カイル・カークウッド選手が駆る27号車(ホンダ)にサムズクラブのロゴを掲げてインディアナポリス500に参戦する。昨年の施策では対象商品の売り上げが24%増加したとしている。

 アンドレッティ・グローバルの社長ジル・グレゴリーは「消費者ブランドがファンと実質的につながり、市場での差別化を図り、新規顧客を獲得するための戦略的な場として機能している。サムズクラブがインディアナポリス500という世界的な舞台に初参戦することで、この連携の影響力はさらに高まる」と述べた。

 活用できる接点は多層的で、大規模会場での展示や優良席配置、27号車とカークウッド選手のレーシングスーツへのロゴ掲出、デジタル・コンテンツ連携、そして店内・サーキット会場での商品デモおよびサンプリングが含まれる。

 新たな施策として「ウィン・サマー・ウィズ・サムズクラブ」と、サッカーへの関心を活用した会員向け体験型施策「サムズ・フットボール・クラブ」も加わる。これらは既存会員だけでなく入会検討中の層にもアプローチするものと位置づけられている。

ラジオ放送や給油所も広告媒体に活用

 「インクラブ・オーディオ広告」は、全国の店舗に向けて一斉配信される「サムズクラブ・ラジオ」を媒体として活用する。平日はDJクリス・ボビット氏が司会を務め、ヒット曲・店内情報・トークを組み合わせた生放送形式をとる。広告メッセージはこの放送内に組み込まれ、商品プロモーションの訴求、商品説明、店内デモやイベントの告知などに使われる。会員が実際に商品を手に取る直前のタイミングで聞こえることから、購買判断への影響を狙うものだ。

 さらに、500カ所超の「給油所スクリーン」も広告媒体に活用する。サムズクラブの給油所は現在500カ所以上に展開されている。各ポンプに設置された高解像度スクリーンにMAP経由で広告を配信できるようになり、会員が給油中に滞在する数分間を活用して特典情報や商品案内などを表示する。同社はこれを「会員の日常動線に沿った自然な延長線上の接触機会」と位置づけている。

 今回の発表は、会員の動線全体を広告接点として整備しようとする取り組みを示している。給油所スクリーン・店内音声・体験型イベントという3チャネルの組み合わせにより、店内外にわたる一貫した広告配信体制を構築する方向性が読み取れる。