ファミリーマートは9月16日から北陸地区(富山県、石川県、福井県)の約550店で、おむすびや弁当など「定温商品」の配送を1日3便から2便に変更する。物価上昇の中、商品の価値・価格のバランスをコスト面から見直す取り組みの一環。食品廃棄ロスやCO2排出量の削減も見込む。

 従来実施していた深夜・午前・午後の3便配送を、午前と午後の2便に減らす。対象品目はおむすび、寿司、弁当、パン、惣菜、デザートなど約800品目。配送コースの見直しにも取り組み、これにより定温品と、以前から2便体制だったチルド品とを足並み揃えて運べるようになる。

 この前段としてファミマは今春、全国で米飯系の商品の消費期限を従来の19時間から2時間延長した。また今回、北陸で配送減便を始めるにあたり、製造拠点の体制も見直した。これまで北陸地区の米飯工場では、二つの工場でそれぞれ約70品目のおむすび・弁当などを製造していたが、今後は工場ごとに製造する品目を分担することで生産効率を向上させる。

 一連の取り組みで物流費の1割減を見込む。コストを圧縮することで商品の値上げを抑えながら、価値ある商品づくりをさらに推し進める。差別化でお客を呼び込むと同時に、廃棄ロスを抑制し、加盟店利益増にもつなげる。またCO2排出量は約3割減を想定し、環境にも配慮する。

 ただ、配送回数の縮小には欠品リスクもつきまとう。そこで、同日から北陸では長期保存が可能な冷凍弁当の販売も始める。ラインアップは「こだわりデミグラスソースのデミオムライス」(税込498円)、「トマトの旨味あふれるナポリタン&海老ピラフ風」(598円)、「旨味たっぷり炒飯&唐揚げ」(550円)の3品。冷凍品は1年ほど保存できるため、加盟店が抱える在庫リスクも少なくて済む。併せて、新しい納品時間に応じた店舗ごとの最適な発注を支援するフォロー体制を敷き、円滑な体制移行をサポートしていく構えだ。

 北陸から実験をスタートする理由は、都市部よりも密度の薄い地方部で効果を検証する意図がある。ここで効果や課題を洗い出し、他エリアへ拡大していくためのスキームを確立したい考えだ。