ローソンは9月18日、三菱商事、KDDIと合同会見を開き、3社で目指す「未来のコンビニ」構築に向けた取り組みを発表した。KDDIが持つ通信技術などを使い、来春にリアルとテックを掛け合わせたモデル店舗をオープンする。同店での取り組みを横展開することで、2030年度をめどに店舗作業の3割削減を目指す。また、今後はデジタル活用の範囲を広げ、幅広い社会課題の解決も視野に入れていくとした。

 ローソンを巡っては今年4月、KDDIによるTOBが成立。非上場化を経て、三菱商事とKDDIが50%ずつ出資する共同経営体制に移行した。9月にはローソンの副社長にKDDI出身の雨宮俊武氏が就任。そのほか取締役の入れ替わりもあり、ローソンの役員は現在、三菱商事出身三名、KDDI出身3名の持株比率通りの体制となっている。

 新体制への移行を機に、ローソンは「グローバル・リアル・テック・コンビニエンス」への転身を掲げている。小売りと通信の連携でコンビニのデジタル化を加速させるべく、来春KDDIが移転する新本社(港区高輪)に実験店を構える。オフィスフロアと一般フロアの2店で、効率化と顧客体験向上の様々な施策を展開する計画だ。

 新店舗では、飲料の品出しや清掃などの業務をロボットが代替することで作業の負荷軽減を図る。お客に向けては、スマホレジの導入でスムーズな買い物を提供するほか、AIカメラを活用したサイネージでお客ごとのおすすめ商品を提案する。また、生活の困りごとにリモートで対応する窓口の設置も検討中だ。

飲料の品出しをするロボット
お客の属性をAIカメラで識別し、投影する内容を自動で切り替える棚設置型サイネージ
生活の困りごとにリモートで対応するブースのイメージ

 一方、実験店のオープンに先立ち、Ponta(ポンタ)経済圏の拡大に向けた施策も打っていく。10月2日から、従来の「auスマートパスプレミアム」を「ポンタパス」に刷新。月額548円(税込)は据え置き、ローソンで使えるクーポンの強化や、auペイ払いでポイントを追加付与するなどの施策で来店を促す。これにより会員数を現在の1500万人から2000万人に積み増す考えだ。

 ローソンと親会社の3社は目下、12のテーマからなるワーキンググループを始動し、今後の戦略について議論を重ねている。今般の会見では、三菱商事のパートナーシップや事業ネットワークを活用し、海外展開を強める構想や、防災・交通など自治体との連携を強化し、2030年をめどにローソンをハブ(中核)にしてあらゆる人々が豊かに暮らせる街「ローソン・タウン」を築くビジョンも示された。

 ローソンの竹増貞信社長は、「3社の知見を結集すれば、日販も今の2~3割は伸ばせるポテンシャルがあると見ている。世界一成長し、世界一お客様に評価される店舗を目指していきたい」と力を込めた。

(冒頭写真は、左から三菱商事の中西勝也社長、ローソンの竹増貞信社長、KDDIの髙橋誠社長)