独ディスカウントスーパー最大手アルディの南北両社(アルディ・ノース、アルディ・サウス)は7月中旬、会員アプリの利用者だけを対象とする割引を今後も導入しないと宣言する異例の発表をした。同社は「全員に最良の価格を、条件なしで」という考えを掲げ、アプリの登録やクーポンの有効化といった手続きを求めず、棚に表示された価格を誰に対しても等しく適用する方針を明確にした。7月20日からは、この姿勢を打ち出す広告展開を始めている。

 同社はリリースで「あらゆるものが複雑になる時代だからこそ、単純であることがこれまで以上に重要だ。まさにそれが当社の事業モデルである。アルディの価格は、有効化したり、探したり、開錠したりする必要がない。すべての人に適用される」と説明している。これにより、両社は会員アプリ限定の割引に明確に反対する立場を取ることになる。

約2000品目、棚札の明快な価格という原則

 アルディは同社の特徴として、見通しの良い約2000品目の品揃え、棚に直接表示された明快な価格、約1000㎡の売り場で15分あれば週末の買い物が完結する店舗という3点を挙げる。これに対し、一般的なスーパーマーケットは平均で約1万2000品目とアルディの6倍を扱い、売り場面積も少なくとも2倍に及ぶという。同社は絞り込んだ業務プロセスと供給業者との長期的な関係から生まれる費用面の優位を、低価格の源泉と位置づける。

 背景として同社が問題視するのは、アプリ会員とそれ以外とで支払い額が変わる状況である。複数の独メディアの報道によれば、アルディはこうした状況を「二階級社会(ツヴァイクラッセンゲゼルシャフト)」と表現し、スマートフォンを持たない、あるいはクーポンの有効化を忘れた顧客が割高な支払いを強いられる構図を問題視している(エコー24、ゲームスターなど)。同社はまた、割引アプリやクーポン価格が、かえって顧客を計画外の支出へ誘い、最大で3割の余分な出費につながり得ると指摘しているという(エコー24、ゲームスターによる、リリースおよびロイヤルティ関連調査の引用)。

 同社が引き合いに出す競合の動きも報じられている。独メディアによれば、リドルやカウフラント、エデカなどでは、アプリを読み取らなければ特定の特売価格が適用されない仕組みがすでに日常的になっており、アルディはこうしたモデルとの差別化を鮮明にしているという(エコー24)。

 自社の価格競争力の裏付けとして、アルディは外部評価に言及している。調査「クンデンモニター2025」でアルディはディスカウント店の中で16年連続の「価格勝者」に選ばれた。また、データ分析会社ユーガブがハンデルスブラット紙と共同で実施した2025年のランキングでは、アルディ・ズュートが6回連続で価格性能の勝者に選ばれたとしている。