ターゲットは12月9日、米ニューヨーク市ソーホー地区のブロードウェイ600番地に、新たなコンセプトストア「ターゲット・ソーホー」を正式にオープンした。日常の買い物と遊び、発見、スタイルを融合させた体験主導型の店舗であり、同社のデザイン重視戦略を象徴する存在である。

 この店舗は、アパレル、ビューティー、家庭用品、季節商品の“ドロップ”など、トレンドに合わせて変化する品揃えを常に更新する。ターゲットの上級副社長兼チーフ・ゲスト・エクスペリエンス・オフィサー(CGEO)のカーラ・シルベスター氏は、「スタイルとデザインはターゲットのDNAであり、ニューヨークはその未来像を示すのに最適な舞台である」と述べている。

ニューヨークとの共鳴を深める取り組み

 ターゲットはこれまでもニューヨーク・ファッション・ウィークへの協賛やクリエイターとの協業を通じて、同地域の文化とつながりを構築してきた。ターゲット・ソーホーは、こうした歴史の延長線上に位置づけられ、デザインとイノベーションを核とする次章を象徴する。

 調査会社ハリス・ポールによれば、消費者の82%が「ギフトアイデアをキュレーションしてくれる店舗」を評価し、78%が「発見の目的地のような売り場」を望んでいる。ターゲット・ソーホーはこのニーズを踏まえ、動的で目的地型の売場構造を採用。売場全体を“体験”として成立させるため、以下の五つのゾーンを設けている。

1. キュレイテッド・バイ(Curated By)
 ターゲットとニューヨークのテイストメーカーが共同編集する季節コレクション。初回キュレーターは女優・コメディアンのメーガン・スターター氏で、ファッション、ビューティー、ホームの推し商品を紹介する。

2. ザ・ドロップ・アット・ターゲット・ソーホー(The Drop @ Target SoHo)
 1階の“トレンド体験ゾーン”。毎月更新されるシーズナル・スタイルを展示し、単なる陳列ではなく「空間そのものを目的地にする」演出を行う。

3. ブロードウェイ・ビューティー・バー(Broadway Beauty Bar)
 ビューティー分野のキーパーソンが選んだターゲットの商品をローテーション展示するゾーン。オープニング時はメイクアップアーティストのケイティ・ジェーン・ヒューズ氏がセレクトした商品群を紹介する。サンプル体験や撮影が可能な“ビューティーの遊び場”でもある。

4. ギフティング・ゴンドラ(Gifting Gondola)
 ホリデー需要に合わせたフォトスポット兼ギフト提案コーナー。凸面ミラーを組み込んだインスタレーションを用いて、遊び心ある演出とターゲット限定のギフト商品を提供する。

5. セルフィー・チェックアウト(Selfie Checkout)
 チェックアウトの瞬間を“記念撮影の場”としてデザインした演出で、買い物体験の締めくくりをスタイリッシュに盛り上げる。

2026年には、さらなる進化

 今回の開業は「フェーズ1」であり、2026年以降は体験ゾーンの拡張、季節イベント、カフェ、イベントプログラムなどを追加し、全面的な没入型体験へと進化させる計画である。構想から完成まで4カ月というスピードは、ターゲットの実行力を象徴するものだ。

 2026年にCEO就任予定のマイケル・フィデルケ氏のビジョンは「スタイルとデザインを企業の中心に据える」ことであり、ターゲット・ソーホーはその方向性を体現する戦略拠点となるだろう。