三菱商事は5月8日、子会社の食品卸大手・三菱食品を完全子会社化すると発表した。現時点で三菱商事は三菱食品の株式を50.11%保有している。5月9日よりTOB(株式公開買い付け)を実施し、9月頃に三菱食品は上場廃止となる見通しだ。

 三菱商事は三菱食品について、「S.L.C.グループ事業間の有機的な連携において欠かせない役割を担うB2B事業者」とした上で、三菱食品を中核とする食品流通事業を強化させることが、三菱商事の企業価値向上を実現することになると説明。S.L.C.とはスマートライフクリエーションの略で、ローソンや三菱食品など流通業を主体とする部門だ。

 一方で三菱商事、三菱食品とも上場会社であることから、経営資源の十分な相互活用が困難だったとも指摘。完全子会社化することで、両社の経営資源を最大限に活用することを狙う。

 完全子会社化後、三菱商事が特に強化していくと挙げたのが、食品卸事業の岩盤収益のさらなる強靭化、成長事業の拡大、人材育成・人材交流の促進の三つだ。

 食品卸事業の岩盤収益のさらなる強靭化では、IT・デジタル知見の活用や、三菱商事グループの食関連企業との協業により小売りやメーカー向けの提供機能をさらに拡充する。成長事業の拡大では、物流、海外、デジタルマーケティングの3事業を強化するとしている。(写真は三菱商事本社)