米国ディスカウント小売大手ダラー・ツリーは3月26日、傘下のファミリー・ダラー事業をブリゲード・キャピタル・マネジメントおよびマセラム・キャピタル・マネジメントに売却することで合意したと発表した。売却額は10億700万ドルで、ファミリー・ダラーの本社所在地であるバージニア州チェサピークは今後も維持される。

 この売却により、ダラー・ツリーが昨年から進めてきたファミリー・ダラー事業に関する「戦略的選択肢の検討」は完了する。同社は、複数の選択肢を慎重に評価した結果、ブリゲードとマセラムへの売却がもっとも株主価値を高め、ファミリー・ダラーの将来的な成長にも資するとの判断に至った。

 ダラー・ツリーのCEO(最高経営責任者)であるマイク・クリードン氏は「今回の売却は、当社が進めてきた変革の旅における大きな節目である」と語り、今後はダラー・ツリー本体の最適化と成長に専念していく方針を示した。特に、商品ラインアップの拡大、全米での新規出店の加速、成長戦略に資する事業展開に重点を置くとしている。

 ファミリー・ダラーは1959年に創業された老舗ブランドで、日用品や食品を手頃な価格で提供する業態として知られてきた。2015年にはダラー・ツリーが約90億ドルで買収したが、近年は業績が低迷し、店舗の整理や収益構造の見直しを迫られていた。

非上場化させリストラ加速

 今回の売却は、ファミリー・ダラーを非上場の独立企業として再出発させることを意図したものである。今後はブリゲードとマセラムからの資金支援を受けつつ、既存の経営体制のもとで再建が進められる。

 ファミリー・ダラーの社長であるジェイソン・ノルディン氏は引き続き経営を担い、さらに新会長としてダンカン・マクノートン氏が就任する。マクノートン氏はかつて同社の社長兼最高執行責任者を務めた経験を持ち、「新たな投資家と共に次の成長ステージを切り拓くことができるのは光栄である。ファミリー・ダラーには独立企業としての大きな可能性がある」と期待を寄せている。

 本取引は、規制当局の承認と各種クロージング条件を前提に、2025年第2四半期中に完了する予定。 ダラー・ツリーは2025年2月時点で、アメリカ48州およびカナダ5州において1万6500店舗を展開しており、「ダラー・ツリー」「ファミリー・ダラー」「ダラー・ツリー・カナダ」の3ブランド体制で運営されてきた。今回のファミリー・ダラーの分離により、同社は収益性の高い事業へと集中できる体制を整えることになる。