ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(以下、USMH)は11月30日にいなげやと経営統合し、マルエツ、カスミ、マックスバリュ関東を含めた4社で新たなスタートを切る。
29日に行われた経営統合説明会で、USMHの藤田元宏社長は「規模の拡大に甘んじて動きが緩慢になったり、変化に後れを取ったりすることがないようにしていく。これまでのトレンドを脱するために、ガバナンスや経営体制を刷新し、意識と行動を変えることがファーストステップ」と決意を示した。
スケールメリットを生かすため、今後は各社の仕入れ部門を統合し、加工食品や日配品などの一括仕入れ調達に踏み込む。親会社であるイオングループにもイオン商品調達やイオングローバルSCMといった調達機能があるが、藤田社長は「取り込めるものは取り込めればいいが、ハードルが高いところもある。我々は我々でさまざまな形を検討していきながら、一緒にできるところはやっていく。イオンとの距離感は今までより若干近くなるイメージ」とスタンスを説明。
また、人事や総務などのバックオフィス部門も集約し、共通業務を一括処理することでコストの適正化を図る。今後は採用体制も統合する予定だ。さらに、IT、ロジスティクス、店舗開発などの業務統合により、マーケティング機能の強化にも取り組む。一方で、ネットスーパーのブランドは統合せず、ポイントプログラムの集約についても今後検討する。
規模の活用、コスト適正化、業務品質向上の大きく三つの取り組みにより、2025年~27年の3年間で約100億円のシナジー創出を見込む。
また、これらの施策を既存店の競争力強化や効率的な新規出店につなげることで、店舗の変革に挑む構えだ。新生USMHは25年1~2月に次期中期経営計画を発表する予定で、同年3月から中計に基づく新体制が始動する。
統合にあたり、いなげやの本杉吉員社長は「当社は本部の販管費が大きいので、統合を機に、この比率を下げていきたい。現場力を高めて、いかに顧客目線で店舗運営や商品づくりができるかが大きな柱になる。グループの中で一番お客様に支持される会社になりたい」と展望を語った。
いなげやとの統合により、USMHの売上高は9235億円(23年度期末時点で計算)となり、1兆円の大台が近づく。また、店舗数は首都圏1都6県に659店舗、同地域の市場シェアは6.1%まで高まる。これを踏まえて、藤田社長は「我々は首都圏を地盤としているので、売上高1兆2000億円、市場シェア10%を超えていかないと十分なプレゼンスを発揮することはできない。5~8年ぐらいで、その水準を目指す」と力を込めた。
一方で、USMHは設立時の15年度から連結営業利益が半減するなど、収益性の改善が喫緊の課題となっている。今後もさまざまなコストが上昇する局面が続くだけに、収益面で目に見える結果が求められそうだ。