アインホールディングス(HD)は6月26日、香港ファンドのオアシス・マネジメントから6月4日に受けていた株主提案の内容を明らかにするとともに、その提案のすべてに反対すると表明した。
オアシスの提案は、社外取締役2名の解任と4名の選任、社外取締役の個人別の固定報酬額決定、社外取締役に対する譲渡制限付株式付与のための報酬決定の4議案。
特に1番目の社外取締役の解任について、オアシス側は独立性を欠くことなどを理由に、セブン&アイHD副社長の伊藤順朗氏、元丸紅副社長の山添茂氏の解任を求めていた。提案書では、昨年の病院敷地内の薬局整備を巡る不正入札で、アインファーマシーズの社長らが逮捕された件を問題視し、独立性を欠く社外取締役の存在がこうした不祥事を引き起こしたと主張した。
これに対しアインHDは、両名は「独立性を有し」、「それぞれの知見を生かして当社の企業価値向上と株主共同の利益確保に貢献している」と反論。昨年の事件についても、社外取締役の独立性が原因で生じたものではないとして提案を退けた。そもそも伊藤・山添両氏は、7月30日に開催予定の定時株主総会をもって任期満了で退任するため、解任する実質的な意義もないとした。
またオアシスは4名の社外取締役の選任も求めていたが、アインHDはその全員にインタビューを行った上で、4名とも「その知見を高く評価されるべき人材ではあった」が、「上場会社の社外取締役の経験がなく」、「業界についての知見には乏しい」などとして反対を表明した。一方、アインHDは新たな社外取締役の候補として3名を発表。元名古屋高裁長官の綿引万里子氏、セブンイレブン・ジャパン副社長の木村成樹氏、日産自動車、ゴールドマンサックスを経てファストリや博報堂などで社外取締役を務める服部暢達氏の名前を挙げた。
オアシスをめぐっては今年3月、アインHDの株式の9.6%を保有していることが判明、その後買い増しで株式保有比率を14.89%まで高めていた。これによりオアシスの保有比率は、大株主の大谷喜一社長やセブン&アイHDを上回り、筆頭株主になったとみられる。
昨年、オアシスはツルハHDにも社外取締役の一新を求める株主提案を行い、これがツルハとウエルシアの経営統合という業界大再編の引き金となった。物言う株主の存在感が高まる中、株主総会での決議に注目が集まる。