香港の投資ファンドのオアシス・マネジメントが、調剤薬局・ドラッグストアチェーン大手のアインホールディングス(HD)の株式14.89%を取得したことが明らかになった。オアシスが5月1日に提出した株の変更報告書によると、4月23日に主に市場外で取得した。保有目的は「ポートフォリオ投資及び重要提案行為」で、「株主価値を守るため、重要提案行為を行うことがある」としている。

 オアシスは今年3月にもアインHDの株式9.6%を取得したことが明らかになったばかりだが、さらに買い増した。アインHDの大株主(2023年4月末時点)は、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)9.71%、大谷喜一社長9.22%、セブン&アイHD7.83%となっており、オアシスは筆頭株主になったとみられる。

 物言う株主として知られるオアシスは昨年、13%を保有するツルハHDに対して株主提案を行い、その後イオンにツルハ株を売却。ツルハHDとウエルシアHDの経営統合のきっかけをつくった経緯があり、アイン株をめぐっても業界再編の火種となる可能性がある。

 積極的なM&Aで事業を拡大してきたアインHDは調剤薬局チェーントップの売上高を誇るが、昨年8月に事業会社アインファーマシーズの社長(当時)と取締役(同)が公契約関係競売等妨害罪の容疑で逮捕され、その後2人とも辞任。ツルハ・ウエルシアの統合が実現すれば調剤売り上げトップからも陥落する見込みで、不透明な経営環境が続いている。