帝国データバンクは10月17日、「食品スーパー業界」動向調査の結果を発表した。2022年度の損益状況が判明した1100社のうち、31.3%にあたる349社が「赤字」ということがわかった。前年度から「減益」(37.5%)となったケースを合わせた「業績悪化」の割合は食品スーパー全体の約7割に達し、コロナ禍前後の水準を上回って過去最高を更新した。
赤字となった食品スーパーの割合を都道府県別(本社所在地)に見ると、地方を拠点とする食品スーパーの業績悪化が目立った。赤字割合70%の「鳥取県」を筆頭に、「徳島県」(60%)や「滋賀県」「岐阜県」(各50%)などで厳しい状況が伺えた。
調査では、「人口減が進む地方の中小スーパーでは、集客力を維持する「値下げ」など、単純な価格競争に陥りやすく、電気代やガス代などのコストを回収できていないことが要因の一つ」と分析している。
一方、「好調な地場スーパーでは、扉付きの冷凍・冷蔵庫の導入による節電で光熱費を圧縮するほか、セミセルフレジの導入や商品の自動発注などのデジタル化でコストを削減し、粗利の確保を目指す店舗もある。また、独自性を打ち出しやすい惣菜で粗利を確保し、低価格戦略の原資にするスーパーもあり、単純な価格競争以外の訴求力が必要」とも指摘した。