業務用の復活で業績が拡大
日本酒類販売(日酒販)の第1次中期経営計画初年度の2023年3月期は、行動規制の緩和による人流回復が追い風となり、好調なスタートを切った。売上高は前年度比107.4%の5510億7000万円、経常利益は同167.0%の37億9000円と、増収大幅増益で着地した。
売り上げの拡大は、構成比の15%を占める業務用が147.3%と大きく伸長したことが主な要因だ。また、2次卸(104.2%)や外食(174.3%)の需要拡大もトップラインの引き上げにつながった。一方、利益の増加は、業務効率化によるもの。RPAを導入し、事務作業の自動化を推進した結果、昨年度だけで約30項目の業務の削減に成功した。倉本隆社長は、「単にペーパーレス化しただけでなく、業務を見える化し、手順を見直したことで、省力化、効率化につながった」と評価。さらに、物流コストのコントロールも利益拡大に寄与した。取引先の協力を得て、納品回数、配送ロットの適正化、納品要件の整理などを実施。積載率や車両回転数を高めることで、配送車両台数の抑制を図った。また、庫内運営も、タブレット端末を用いた生産管理システムを導入、作業の見える化と情報共有で効率化を進めた。加えて、物流施設の管理体制も強化。全国の汎用物流拠点の管理を物流統括部に集約するとともに各拠点に駐在員を配置して、現場と本部のコミュニケーションを促進、迅速な対応を可能にした。このほか、メーカー3社と連携し、五つの拠点でASNデータを活用した検品レスを実現したほか、共同配送の仕組みも構築している。