イオンリテールは、「イオン」と「イオンスタイル」約350店で自動勤務計画作成ツールの「AIワーク」(冒頭写真)と情報共有ツール「MaIボード」を導入する。就業環境のDX推進を加速させ、業務効率の向上とやりがいにつなげる方針だ。
AIワークは、従業員一人ひとりの勤務パターンをシステムに入力し、モデルを作成。その後、実際の勤務希望と月間労働時間をもとに、AIが自動で適切な勤務計画を起案する。勤務パターンだけでなく、一人ひとりの職能もデータ化することで、チームの課題をより把握しやすくなり、補充人員の確保や技能教育などをよりスムーズに行える。10月には、時間帯ごとの作業割り当てを実装する予定だ。
AIワークを今年6月に約60店舗で試験導入した結果、利用部門の勤務計画作成時間が70%低減。勤務希望の申請や勤務計画の確認を携帯端末上でできるようになったことで、勤務計画に関わる紙の使用量を90%削減したという。
MaIボードは、デジタルサイネージでチーム内の情報共有を行えるツール。画面から業務連絡や作業の確認ができるほか、当日や月間の予算達成度などの営業数値やチラシ情報、近隣店舗との比較や好調商品など、「改善のヒント」となる情報も常時更新される。こうした情報をミーティングで共有することで、チームメンバーから販促策の提案などにつなげる狙いもある。
同社がこれらを開発した背景には、人時生産性の向上がある。山本実執行役員・システム企画本部長は「マネージャーによっては、業務時間の3分の1をデスクワークに充てている人もいる。そうではなく、本来の業務である現場に立てるようにすることが小売業では重要」として開発に取り組んだ。
AIワークは7月からデリカで展開を開始し、その後、食品全部門とH&BCへ拡大する予定。MaIボードは7月25日現在240店に導入されており、順次拡大する計画だ。さらに、山本本部長は「イオングループ内で希望する企業があれば導入を拡大したい」という意向を示した。