公正取引委員会(公取委)は3月30日、人件費や原材料費、エネルギーコストの上昇分について価格転嫁を拒否する疑いが見込まれる22業種を対象に、独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査を実施すると発表した。選定業種の中には食料品製造業や小売業、卸売業、運送業などが含まれている。具体的な調査対象は今後さらに精査するとしている。

 公取委は、価格転嫁の阻害要因として、値上げ要請を理由とする転注・失注リスク、価格競争の影響による転嫁の受け入れ困難、発注者や元請けの立場が強く価格交渉が困難である点などが見受けられたと指摘している。

 今回の緊急調査はサプライチェーンやバリューチェーンのつながりを踏まえて実施。川上・川下の関連業種について、選定した22業種以外でも必要な範囲で実施する。調査結果は報告書を取りまとめて公表する予定。取引価格への転嫁拒否が疑われる事案に対しては立入調査を実施するほか、関係する事業者に対し具体的な懸念事項を明示した文書を送付するなどしていく。