コロナ禍で浮き彫りになった課題やチャンスを捉える

 人とペットの共生社会の実現」を目指すユニ・チャームが、ペットケア用品の提案を一段と深めている。新型コロナウイルスの感染状況によって刻一刻と変化する飼育環境、消費者ニーズに的確に対応。来たる”アフターワクチン”の潮流も見据え、商品開発と売り場提案を両輪で推し進めることで、あくなき価値創造に挑み続けている。

 近年、ペットの飼育頭数は人口減少により微減トレンドが続いていたが、コロナ禍でペット需要が高まり、2021年は新規飼育者が大きく増加。犬・猫ともに過去5年間で最高値を記録した。特に活動的でトレンドに敏感な20~30代の若い飼育者が大幅に増えた。

 一頭にかける支出額も増加傾向にある。在宅時間が増えたことで、今までよりペットの状態を気にかけたり、ペットと一緒に充実した時間を過ごしたいというニーズが着実に高まっているのだ。

「フードではプレミアム志向、健康意識の高まりが顕著。排泄ケアでは清潔・消臭ニーズが高まっている。コミュニケーションの頻度は継続的に増えており、ワクチン接種の広がりとともに20~30代の若い飼育者を中心にペット同伴の外出意欲も高まっている」(ユニ・チャーム)

 同社はこうした様々な消費者変化を前提に戦略を立案。コロナ禍で浮き彫りになった課題やチャンスを洗い出した上で、22年の各カテゴリー提案に落とし込んでいる。

スプーン容器に入った猫用ウェットおやつを新発売

 猫用フードカテゴリーでは、コロナ禍での大きな変化として、副食の売り上げ増が起きている。副食とは、コミュニケーションやしつけの際にも使われる、いわゆる「猫用おやつ」だ。元々順調に伸びている商品群だったが、家にいる時間が長くなったことで1日に与える頻度・回数が増加。特にウェットタイプのおやつが人気で、21年のウェットおやつ使用率は19年比(コロナ前比)で124%にまで伸長している。

 しかしウェットおやつの普及とともに、使用シーンにおける様々なトラブルも顕在化してきている。ウェットおやつは小分けパックやチューブに入った商品が多く、それを飼い主が手で持って少しずつ出しながら猫に与えるのが一般的だ。が、ユニ・チャームの調べによると、その際に中身が手についたり、床にこぼれるといったトラブルが頻繁に起きていることが判明。それ以外にも、「中身がスムーズに押し出せず、猫の食べるスピードと合わない」、「切り口がうまく切れない」といった悩みが上がり、調査対象者の実に87%がなんらかのトラブルを経験していることがわかった。

 こうした課題を解決すべく、ユニ・チャームはウェットおやつで今までにない仕様の商品を開発した。それが11月に発売した「銀のスプーン 三ッ星グルメ にゃんSpoon(スプーン)」だ。最大の特徴はその形状にある。猫の食べやすさ、中身のこぼれにくさを追求し、名前にある通りのスプーン型(特許出願中)を採用した。開発にあたって約600頭の猫でテストを実施。試行錯誤を繰り返すことで、どの方向からも舐めとりやすく、飛び散りにくい容器の大きさと深さを実現した。

「銀のスプーン 三ッ星グルメ
にゃんSpoon(スプーン)」
10g×4本入り、10g×10本
入り

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