売り場面積が半減しても品揃えは1/3以上を確保

 今期初の出店は、期間限定の仮設店舗だ。カスミは3月1日、埼玉県三郷市にフードマーケットカスミ三郷駅前店をオープンした。JR武蔵野線三郷駅から徒歩3分の場所にある。商圏は0.5km圏内2397世帯を想定している。同店は、2005年の開業以来15年間営業してきたフードスクエアカスミ三郷駅前店が、入居先の商業施設「ワオシティ三郷」の建て替え工事に伴い今年2月に閉店し、移転したもの。ワオシティ三郷の建て替え工事は2年後の完了を予定しており、それまでの仮設店舗の位置づけだ。

 これに加えて、小型店の実験店舗としての役割も担う。売り場面積は725㎡と、1969㎡だった旧店の半分以下に縮小。カスミで1000㎡以下の店舗は18年5月に開業した南町店(374㎡、水戸市)と同年10月開業の筑波大学店(766㎡、つくば市)などと少ない。

 300坪以下を小型店と定義した上で、品揃えをできるだけ多くするために、レジスペースでは、通常レジを2台、フルセルフレジを6台、スマホで商品スキャンから決済まで行えるスキャン&ゴーの対応端末を1台配置し、スペース縮小を図った。

レジコーナーは通常レジ2台、フルセルフレジ6台、スキャン&ゴー対応端末を1台配置した

 陳列についても、例えば惣菜売り場では壁面に集積し、什器は下部に飲料を詰め込めるものを採用した。その結果、売り場面積が半減しながら、品揃えは1万1000SKUから8000弱と約3割減にとどめている。山本慎一郎社長は、「生鮮食品はあまり減らさずに日用品を削減することで、近隣のお客様にご迷惑をかけないように選別した」という。そのため、売上構成比では生鮮食品(34%)と惣菜(11%)で、旧店とほぼ同じ比率を維持している。

 品揃えをできるだけ充実させる一方で、オペレーションの効率化にも取り組んでいる。店内加工は惣菜のみで、精肉は加工品以外のすべて、鮮魚は50%がアウトパックだ。山本社長は、「南町店では成功パターンを描けていないので、今回の店舗で改めてチャレンジしたい」と意欲を示す。こうした取り組みにより、年商は旧店の半分の約11億円を目指す。

惣菜売り場では飲料を下部に収納できる什器を採用
精肉売り場の商品は加工品以外すべて店外加工だ

スキャン&ゴーの利用率を今期10%へ引き上げる

 カスミは今期、山本社長の就任以降推進してきたデジタル関連の取り組みをさらに加速させる。スキャン&ゴーはほぼ全店に導入済みだが、利用率は高い店でも4、5%にとどまる。錦糸町店(東京都墨田区)ではスキャン&ゴー利用客のバッグに「買い物中」のタグをかければサッカー台で詰め直さずにそのまま退店できる実験を始めたところ、利用率が上がっているという。水曜日にはスキャン&ゴー利用客を対象にポイント10倍付与、金曜日には翌週使えるデジタルクーポンを発行する販促も実施中だ。山本社長は「チラシの目玉商品で集客するよりも、お客様が欲しい商品を選べるようにした方がいい」と指摘する。今期は利用率10%への引き上げを図り、長期的には40%を目指す考えだ。

 USMHグループ全体で展開している店舗出荷型の食品宅配サービス「オンラインデリバリー イグニカ」(ODI)では、スマホアプリに加えて、ウェブサイトを3月1日に開設し、パソコンやタブレット端末でも利用できるようになった。これに併せて、USMHのPB「イータイム」にODI専用ミールキット「イータイムシェフ」3品も同日発売した。店舗出荷ではなく、ヤマト運輸の宅急便で配送することから、ODIが対応していない関東地域のお客も購入できるという。

 ODIには課題もある。店舗の品揃えをすべて注文できる体制を目指しているが、まだ実現していないからだ。山本社長は「ODIの注文管理と店舗の在庫情報が連動していないため、品切れリスクを恐れて主力商品中心の品揃えに絞られている」と指摘する。理想実現に向けて、USMH全体では店舗在庫の情報をODIに連携させる取り組みを始め、いずれはカスミ全体で取り扱う商品の注文に対応できる体制を目指す。カスミは、店舗開発とデジタル推進の両方で、新年度のスタートを切った。

2年間の期間限定でオープンした

フードマーケットカスミ三郷駅前店(こちらから同社ホームページに飛びます)
所在地:埼玉県三郷市三郷1-6-3(地図
売り場面積:725㎡(220坪)
目標年商:約11億円
商圏:0.5km 2,397世帯

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