大和ハウス工業は、8月31日から大型複合商業施設「(仮称)春日井商業プロジェクト」(愛知県春日井市)開発に本格着手した。同施設は西友が1977年6月に開業し、2019年2月に閉店した「ザ・モール春日井店パート1」を解体して開発するもので、21年秋の開業を目指す。

 同施設は名古屋駅から車で約40分の、国道19号線に面した交通量が豊富な立地に位置する。国道19号線には、陸橋「オーバーブリッジ」がすでに整備されており、施設に面していない車線から直接アクセスできる。地上3階建てで店舗面積4万㎡の施設は春日井市内最大規模。食品スーパーを核テナントに、「デイリー+ニュー」をキーワードとして、コト消費を促す複合レジャー施設や生活雑貨店、家電量販店、フードホールなど70−80店舗のテナント入居を見込んでいる。

 半径5−10kmの商圏にある春日井市や小牧市は名古屋のベッドタウンで、子育て世帯が多く住んでいる。その一方で、春日井市北部にある大型住宅団地の高蔵寺ニュータウンでは高齢化が進んでいることから、「みんなの庭春日井」を開発コンセプトに、幅広い世代が快適に過ごせる街づくりを進める。解体前のザ・モール春日井店パート1に設置されていたステンドグラスは、「春日井市都市景観賞」に選ばれるなど地元の名物で、保存を望む要望も多く寄せられていることから一部を残す予定だ。

 社会的な取り組みとして、移動手段が少ない高齢者を対象に、慶應義塾大学大学院とともに、モビリティーサービスの研究を行う。中長期的には飲食店テナントのテイクアウトサービスへの活用も視野に入れている。

 新型コロナウイルスの対策では、設備に抗菌仕様の素材を使用。フードホールではレイアウトを見直しているほか、吹き抜け部分で大型のインテリアファンを導入することで空気の循環をよくする。SC事業部SC事業推進室の村田順室長は、「お客様に安心していただくためにコロナ対策はできることを最大限行いつつ、居心地のよい場づくりに取り組みたい」と力を込める。

 大和ハウス工業は春日井商業プロジェクトのほか、21年に流山おおたかの森駅(千葉県流山市)近くに大規模商業施設の着工を計画するほか、19年5月に三井不動産グループから取得した複合大型商業施設「アルパーク」(広島県広島市)の大規模な活性化施策を実施する予定。大和ハウス工業は新型コロナ対策を万全にしつつ、施設づくりと集客力向上に取り組む方針だ。

(写真は2021年秋に開業予定の「春日井プロジェクト」イメージ)