今夏に開かれたサッカーのワールドカップ(W杯)北中米大会では試合観戦のチケットが高騰し、世界のサッカーファンから批判の声があがった。国際サッカー連盟が需要に応じて価格が変動する「ダイナミックプライシング」を導入したためだが、こうした価格高騰が食品などにも及ぶかもしれないという懸念が米国で強まっている。個人の購入履歴に基づいたマーケティングがAIの導入で一段と先鋭化し、同じ時間に同じ場所で同じ商品を購入した場合でも、個々によって価格が異なる事態が想定されるからだ。小売業界はこうした価格設定を否定しているが、急激な技術革新が進む中で消費者の不信感は根強い。

 ダイナミックプライシングは、すでにオンライン取引では馴染み深いものとなっている。航空券やホテル宿泊料、ウーバーなどのライドシェアは、その代表格である。需要が高ければ価格は高騰するが、需要が低ければ安価になるという面では、消費者にとって必ずしも悪いことばかりではない。ただ、これも業者側のさじ加減一つだ。W杯ではスタジアムに空席が目立つ試合でもチケットは高額のままだった。また、決勝戦が行われたニュージャージー州の試合会場に近いニューヨーク市内ではウーバーの価格が急騰し、中心部では1.5km程度の距離を移動するのに最低でも約130ドル(約2万円)かかる状態が長く続いた。

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