スギホールディングス(HD)は9月1日、難病や希少疾病向けの支援サービスを展開するノックオンザドアの子会社化を発表した。同日付で株式を取得し、議決権のすベてを保有した。取得価額は非開示。

 2018年創業のノックオンザドアは、てんかん・認知症・ALS などの難病・希少疾患領域において、医療関係者や企業と連携しながら、患者やその家族の治療や日常生活を支える「患者支援プラットフォーム」を開発・展開。てんかん発作の状況を記録・共有できるアプリ「nanacara」や、専門医が患者の発作記録をもとに診療支援を行えるクラウド型サービス「nanacara for Doctor」などのソリューションを提供している。

 同社の子会社化について、スギHDは「難病・希少疾患領域における患者支援サービスの高度化と、スペシャリティ医薬品への対応力強化を通じて、『患者中心のケアモデル』の構築を目指す、当社グループの成長戦略における重要なステップ」と説明。

 スギグループの店舗網・調剤機能とノックオンザドアの専門性と技術基盤を融合させることで、具体的に以下の取り組みを推進するとしている。

(1)てんかん領域における患者支援サービスをスギグループの薬局で展開

 てんかん患者数は国内に約100万人と推定されており、診療・服薬支援のニーズは高い水準にある。てんかん領域において患者・医療機関の高い利用率を誇るnanacara を活用した治療支援サービスをスギグループの薬局(主に病院門前タイプ)に展開することで、てんかん領域におけるスペシャリティ医薬品の処方箋の応需を強化する。

(2)他の難病・希少疾患領域への拡張

 今後ますます拡大が見込まれるスペシャリティ医薬品市場において、てんかんをモデルに、認知症、ALS、パーキンソン病など他の難病・希少疾患領域へ対象を広げていく。ノックオンザドアと連携して新たなアプリやデジタルサービスの開発を進め、スギグループの店舗網と医療ネットワークを活用して順次展開することで、スペシャリティ医薬品調剤のシェア拡大を図る。

(3)医療DXの推進による新たな成長領域の開拓

 次世代の医療を見据え、PHR(Personal Health Record:個人健康情報)を活用した診療支援や服薬管理のデジタル化を推進する。これにより、医療現場の効率化と質向上を支援するとともに、製薬企業との協業による患者支援プログラムの共同開発・運用や、自治体との連携による重症化予防支援事業など、新たな事業を展開していく。