カルフールは7月28日、イタリアにおける全事業の売却についてニュー・プリンセス・グループと独占交渉に入ったと発表した。今回の売却は、カルフールが進める事業ポートフォリオの見直しの一環であり、グループ全体の成長性と収益性の強化を狙った動きである。

  カルフール・イタリアは、ハイパーマーケット41店舗、スーパーマーケット315店舗、コンビニエンスストア820店舗、キャッシュ&キャリー12店舗を含む合計1188店舗を展開する。2024年の売上高は42億ユーロで、グループ全体の約4%を占めていた。

  しかし、2020年から2022年にかけて一度は回復したものの、2024年は売り上げの減少に加え、営業利益やフリーキャッシュフローがマイナスに転じるなど、厳しい経営環境が続いていた。

 イタリア本拠のアグリフード企業へ売却

  今回の取引計画は、イタリアにおけるカルフールの全活動を対象とする。カルフールは財務的な支援も行うため、グループの資金に与える純影響はマイナス2億4000万ユーロと見込まれている。

  取引完了後、カルフール・イタリアは移行期間中、ライセンス契約の下でカルフールブランドを維持しながら事業を継続する。またニュー・プリンセスは、同社の長期的競争力を高めるために最低2億ユーロの投資を実行することを約束している。

  ニュー・プリンセスはイタリアに本拠を置く欧州のアグリフード企業で、四つの主要市場に強い基盤を持ち、60カ国以上に輸出している。2024年の売上高は28億ユーロで、ミラノ証券取引所に上場している。取引の完了には従業員代表との協議、規制当局の承認、最終的な契約書の締結が必要であり、2025年末までに手続きが完了する見込み。

  今回の売却はカルフールが本年初頭から進めている戦略的見直しの一部であり、グループ全体の資源配分を最適化することによって成長と収益性のバランスを高める狙いがある。