クローガーとアルバートソンの合併を巡り、米国当局と当事者との対立が際立ってきた。8月19日、クローガーは米国オハイオ州南地区連邦地方裁判所に、同社とアルバートソンズとの合併に対する連邦取引委員会(FTC)の行政手続きに対して、差止命令の申し立てを行った。

 クローガーは、連邦裁判所での別の訴訟に加え、FTCがその行政裁判所で手続きを進めることで、憲法上の保護が侵害されていると主張している。主張によれば、差止命令の申し立ては、FTCの合併に対する行政手続きが以下の点で憲法に明確に違反していると詳述している。

 第一に、FTCは行政手続きを担当する行政法判事が米国大統領によって罷免できないため、憲法第2条に違反している。この原則は、最高裁判所が2010年の「フリーエンタープライズ基金対公認会計監督委員会」事件で認めて適用された。

 第二に、FTCは、別の民間当事者との契約に関するクローガーの私的権利を、独立した司法部門ではなく、行政部門を通じて裁くことを求めているため、憲法第3条に違反している。この基準は、2024年の「SEC(証券取引委員会)対ジャーキー」事件で最高裁判所によって強化された。

 さらに、FTCは同じ問題を複数の案件で争うため、不適切な形で合併への挑戦を二つの別々の裁判所に分割しようとしている。クローガーをこの違憲な行政手続きに参加させる一方で、FTCはその行政手続きが解決するまでの数年間、合併を阻止するために連邦裁判所の手続きでも申し立てを行っている。連邦裁判所での証拠審理は、8月26日にオレゴン州地区裁判所で開始される予定である。

 クローガーのロドニー・マクマレン会長兼CEOは「クローガーとアルバートソンズの合併は、顧客に合併初日から低価格で商品を提供し、より良い労働条件を持つ労働組合の確立が焦点だ」と述べている。クローガーは2022年10月にアルバートソンズ買収で合意している。

 この争いは、単なる企業合併の問題を超えて、米国の憲法や行政手続きのあり方にまで影響を与える可能性があり、今後の展開から目が離せなくなってきた。