経済産業省は7月28日、北海道における物流課題と対策を共有し、意見交換するための場として、「北海道地域フィジカルインターネット懇談会」を開催した。昨年から今年にかけて開催された「物価高における流通業のあり方検討会」の中で、物流課題には地域差があり、それが顕著であると考えられる北海道などを対象に、地域レベルでのフィジカルインターネットの実現を国が積極的に後押しすべきとの提言などを受けたものだ。
懇談会では野村総合研究所が北海道の物流の実態調査内容を報告。同社の予測では、2024年問題を受けて25年に道内全体で13%、30年には27%の貨物を運べなくなる可能性があり、特に旭川、函館、釧路、北見で深刻な状況になるとした。また業種別では時間外労働規制の対象ドライバーが多い日用品や農産品・水産品で影響が大きいと見られるという。
具体的には、人口と配送量が相関すると仮定した場合、函館地域の18市町のうち、人口密度の高い自治体を優先すると、函館市と七飯町以外の16市町で運送サービスの質が低下する可能性があるという。
これを踏まえ、懇談会では国内の事例としてカスミが、道内の小売業ではイオン北海道がそれぞれの取り組みを紹介した。同業他社らと北海道物流研究会を立ち上げたイオン北海道は、物流会社のムロオとマテハン改修における連携や、同業の北雄ラッキーと組んでの混載運行で車両を削減する取り組みを説明した。
「フィジカルインターネット」とは、物流リソースに関する情報を標準化し、企業や業界の垣根を超えて共有することで全体効率を図ろうとするもの。経産省は昨年、2040年を目標としたロードマップを策定。業界全体で必要な六つの項目を整理し、これに向けて物流資材の標準化・シェアリング、企業経営者の意識変革など、段階的に行うべき取り組みを示している。
(冒頭画像はイオン北海道の紋別店)