1月26日に電子処方箋の運用が開始されたが、厚生労働省によれば、電子処方箋に対応した医療機関・薬局の数は、1月15日現在で154カ所に留まっている。

 1月15日時点での同制度の運用機関数(参加状況)を見ると、医科診療所が2万6912カ所、歯科診療所2万3073カ所、薬局が4万1805カ所となっている。にもかかわらず実際に対応している医療機関や薬局が少ないのは、医師や薬剤師がデータの照会に必要な認証カード(HPIKカード)の発行の遅れが考えられる。HPKIカードは、昨年中から発行の遅れが指摘されていたが、大手ドラッグストアの幹部によれば、「1月上旬になっても届いていない」と、状況は改善されていなかった。

 そもそも電子処方箋は、参加率が低いことが指摘されており、1月15日時点では、医科診療所30.0%、歯科診療所32.8%、薬局68.0%に過ぎない。その理由は、制度に参加するためには、HPKIカードやそれを読み込むカードリーダーの導入にコストがかかるほか、医療機関では、レセプトコンピューターおよび電子カルテなどの既存システムの改修も必要になるためだ。しかも費用をかけてHPKIカードを取得しても、今後マイナンバーカードでの認証に切り替わる可能性もあるため、今導入することを躊躇するところも少なくない。

 電子処方箋は、過去も含め複数の医療機関や薬局で処方された薬の情報が得られるため、重複投薬を防ぐなどのメリットがあるが、滑り出しは順調とは言えなさそうだ。

(トップ画面は、電子処方箋運用開始を知らせる厚生労働省のポスター)