楽天グループは1月26日、「楽天市場」出店者向けイベント「楽天新春カンファレンス2023」を都内会場にて開催した。講演に立った三木谷浩史会長兼社長は、目下投資を強めるモバイル事業が楽天市場などの国内EC売り上げに与える効果を強調。「2030年に掲げる国内EC売り上げ10兆円の目標のうち、2兆円強はモバイルの波及効果で積み上げられるだろう」と展望を示した。
三木谷会長兼社長によると、楽天モバイル加入1年経過の利用者が楽天市場で購入する金額は、加入前より49%増えるという(22年1~12月時点での契約者)。「モバイルによって利用者の“脳内シェア”が高まる。楽天モバイルは楽天エコシステムの最強の助っ人になる」。三木谷会長兼社長はこうしたグループ内でのクロスユース促進に加え、SPU(スーパーポイントアッププログラム)の直接的効果、低価格な料金プランによる家計応援効果も楽天市場に好影響をもたらすとした。
ただ現状、モバイル事業は助っ人どころかグループの足を引っ張っている状況がある。昨年11月に発表された楽天グループの2022年12月期第3四半期(1~9月)連結決算は、モバイル基地局の建設投資がかさみ、最終損失2580億円で着地。赤字幅は過去最大となった。
楽天回線エリアの人口カバー率は既に98%を超えており、今年以降の設備投資は減少に向かう見込みだ。が、モバイルで狙い通りの好循環を生み出すためには、まずは新規加入の取り込み、そして定着のための打ち手が不可欠となりそうだ。