アークス、バローホールディングス(HD)、リテールパートナーズの3社による新日本スーパーマーケット同盟が3月9日、結成から3カ年の成果と今後のシナジー創出に向けた施策を発表した。
3カ年の共同仕入れ額は241億円で12.3億円の原価低減につなげた。共同販促や同盟限定商品企画には26社が参画。共同販促の「No.1プロジェクト」では、「ポッキー」(江崎グリコ)、「黄金の味」(エバラ食品工業)、「BOSCO エキストラバージンオリーブオイル」(日清オイリオグループ)など六つの企画で仕入れ実績日本一を達成した。
生鮮食品では輸入商材14アイテム、地域性のある商材の共同拡販は13アイテムで実施。惣菜では同盟限定商品として「ビスク風芳醇カニクリームコロッケ」を開発、販売を始めている。合同商談会は新横浜、名古屋などで合計12 回、のべ76社の菓子・加工食品メーカーが参加した。
またSPA戦略として、バローHDとリテールパートナーズの両社が佐賀県の白石罐詰工場に共同出資。地元レンコンを使った水煮商品や筑前煮、とん汁の具などの商品開発を行っている。
コスト削減高は計7.3億円で、資材調達面では業務用洗剤、ユニフォーム、その他消耗資材などを対象に、取引先との交渉で6.3億円の削減につなげた。またSSC(シェアードサービスセンター)活動として、人事部門ではウェブでの年末調整や給与明細の電子化、財務経理部門では棚卸書類の電子化などを進め、管理業務を集約したことにより約1億円を削減した。
今後の施策としては、DX、物流、システム、SDGsでの連携を掲げた。中でも注目されるのは一層のコストアップが懸念される物流だ。ここにおいては、リテールパートナーズ傘下のマルミヤストアで物流費の削減が見込めるとして、バローHDの物流子会社中部興産とプロジェクトを立ち上げ、物流体制の適切化とコスト低減を目指す。具体的には、現在の8センターをドライセンター・チルドセンター併設の3拠点(大分・宮崎・熊本)に集約し、東九州および南九州を網羅する物流体制を整える。
システム面では、アークスが2019年より稼働を始めた基幹システムの構築ノウハウをリテールパートナーズや「新規に加盟し希望する企業など」(新日本スーパーマーケット同盟)に提供することで、開発期間やコスト最小化を支援する。
SDGs への対応では、太陽光発電について、バローHDの「余剰電力循環モデル」を参考に、太陽光発電の推進、電力マネジメントによる消費電力の抑制に取り組む。店舗への太陽光発電設備の設置については、共同での価格交渉や協力先の一本化により導入コストを削減する計画だ。
DXでは、スマートストア実現に向けたキャッシュレスレジ、ストアメディア、電子棚札について各社の取り組みを共有する。中でもバローHDは、売り場にデジタルサイネージを設置し、店舗自体をメディア化する「ストアメディア」の実証実験を実施。AI カメラでサイネージ前の通行者と視聴者を識別し、ビーコンを介してサイネージと自社アプリを連携することで動画広告の効果検証を行った。実験に参加した取引先の評価が高かったことから、将来的には同盟3社での共同事業化も視野に入れつつ、実証実験を継続していくとしている。