受け取り用冷凍・冷蔵ロッカー/冷蔵ショーケース事業に参入

 コロナ禍の影響もあり、冷凍・冷蔵品の取り寄せやネットスーパーの宅配、飲食店のテイクアウト需要が高まっている。テイクアウトやECの市場拡大で、宅配ロッカー市場も急拡大していく見込みだ。こうしたニーズを捉え、パナソニックグループの業務用設備機器販売を担うパナソニック産機システムズは、事前注文・事前決済した商品を非対面で受け渡しできる冷凍・冷蔵ロッカー/冷蔵ショーケース事業に参入。業界初の屋外対応機もラインアップした「冷凍・冷蔵ロッカー」、同じく業界初の二重扉構造を実現した「冷蔵スマートショーケース」の受注販売を1月から開始した。すでに大手流通業のGMSやSM、大手コンビニ、飲食店、空港、駅などで実証実験を実施しており、非対面での新たな受け渡しスタイルの提案を行っている。

「冷凍・冷蔵ロッカー」は、業界初の冷凍・冷蔵・常温の3温度帯対応で、従来の受け取り用ロッカーでは対応できなった要冷凍・要冷蔵食品にも使用可能だ。冷蔵ロッカーは2−23度の温度帯対応で生鮮食品や日配品に使用でき、冷凍ロッカーはマイナス25度−マイナス15度の温度帯対応でアイスや冷凍食品の保管が可能だ。また常温ロッカーも外気温による成り行き温度ではなく、温度設定ができるため、食品にとって安心安全だ。

 また、屋外(直射日光下は要庇)・屋内に設置でき、様々なロケーションへの展開も可能だ。頻繁に立ち寄る店舗はもちろん、近隣にスーパーなどがない地域では、病院・役所・団地、集合住宅のロビー、生活導線上にある保育園や勤め先、駅などに設置することで食品宅配の利用促進にも貢献する。

業界初の冷凍温度帯にも対応した「冷凍・冷蔵ロッカー」は、企業ロゴや広告のラッピングにも対応。冷凍、冷蔵、常温の各ユニット列数を自由に組み合わせるユニット式タイプ

 制御ユニットは冷凍、冷蔵、常温の各ロッカーユニットを自由に組み合わせるユニット式で、最小1列(1列に5ボックス)から最大20列(100ボックス)まで設置環境に応じて構成できる。これを専用クラウドサービスで利用状況を一元管理。本部や店舗からロッカーの空き状況や機器の状態を遠隔で監視でき、使用履歴も一目で確認できる仕組みだ。

 またロッカーは要望に応じて企業ロゴや広告による外観装飾も可能だ。目立つ広告ラッピングでユーザーに直接訴求できる。さらにハード面では冷却システムをインバーター制御することで省エネを実現している。

店舗から公共施設まで幅広いロケーションの受け取りを拡大

 今回、飲食店のテイクアウトなどの非対面受け取りニーズにも応える「冷蔵スマートショーケース」も受注販売を開始した。同機はロッカーに比べ、前面ガラス扉のショーケースなので内部(利用状況)が一目で分かる。本体の外扉と、棚ごとに内扉が構成された業界初の二重扉構造を採用し、購入者以外の第三者の商品接触を防ぐことができる。

業界初の二重扉構造を実現した「冷蔵スマートショーケース」

 ユーザーの利用方法は、ロッカー・ショーケースともに、ECサイトで注文時に受け取り場所を指定。QRコードや暗証番号をタッチパネルに入力するだけで扉が解錠される。ショーケースは屋内利用で庫内が分かりやすいことから、店舗の事前注文対応の受け渡しに最適だ。事前決済した土産や飲食店のテイクアウトを店舗前のショーケースで受け取るという利用方法で非対面での受け渡しが可能だ。また、店舗の営業時間外引き渡しにも使え、店舗の無人化、省力化にも貢献。価格帯もロッカーに比べて、割安で設置できることも支持される要因の1つだ。

 パナソニック産機システムズはロッカーとショーケースのそれぞれの特徴を生かした様々なロケーションへの設置提案を広げる。商品企画CCマーケティング統括部の田村隆行氏は、「ユーザーが自由に受け取れるロッカーとショーケースを町中に設置いただき、将来的に社会インフラの役割を担いたい。例えば、買い物弱者の多い地域では、ユーザーは注文した商品を行政施設や公民館などで受け取れ、店舗もランニングコストを抑えつつ、地域の不便も解消できます」と力を込める。コロナ後も勢いが増すと見られるEC市場やテイクアウトの非対面ニーズに対し、他にはない新たな受け渡しスタイルの提案を進めていく。